Subject  : 脊髄腫瘍(せきずいしゅよう)

カテゴリー: 健康・医療情報 > がん


 脊髄腫瘍(せきずいしゅよう)
脊髄腫瘍は、脊髄の内部や周囲に発生した非癌性(良性)または癌性(悪性)の腫瘍です。
脊髄内に発生した腫瘍、脊柱管内の軟部組織や椎体に発生した腫瘍などにより、脊髄や神経根が圧迫される病気です。腫瘍発生の部位とひろがりによって違いますが、共通した症状は、がんこな痛みが脊柱にそって、限られた場所にあり、運動により痛みが強くなることです。
原発性と続発性があります。原発性脊髄腫瘍は、脊髄内部の細胞や脊髄に隣り合った細胞に発生します。脊髄内部の細胞に発生する腫瘍は、原発性脊髄腫瘍全体の約10%に過ぎず、残りは脊髄に隣接した細胞に由来します。たとえば、脊髄から出ている脊髄神経の一部である脊髄神経根に発生する腫瘍などがあります。原発性脊髄腫瘍には、癌性のものも非癌性のものもあります。
続発性脊髄腫瘍の方がより多く、これは体の別の場所で発生した癌が転移したものなので、常に癌性です。一番多いのは肺、乳腺、前立腺、腎臓、甲状腺で発生した癌が椎骨に転移したもので、これらの癌は脊髄を外側から圧迫します。リンパ腫も、脊椎に転移して脊髄を圧迫します。

 【症状】
脊椎腫瘍によって脊髄と神経根が圧迫されると、症状が現れます。脊髄が圧迫されると腰痛、進行性麻痺、圧迫されている場所から下の体の感覚低下、インポテンス、膀胱と腸の調節機能の消失が起こります。さらに脊髄の血行が遮られて組織が壊死したり、水がたまったり、腫れたりします。水がたまると血行がますます滞って、さらにダメージが広がるという悪循環に陥ります。脊髄神経根が圧迫されたときには、神経根が支えていた筋肉に痛み、しびれ、チクチクする感覚、筋力低下が起こります。脊髄内部に由来する腫瘍では、しびれ、チクチクする感覚、筋力低下が起こりますが、痛みはないでしょう。
脊髄腫瘍の可能性が考えられるのは、体の他の部分にも癌がある人、脊椎の特定部位に痛みがある人、筋力低下、チクチク刺すような痛み、協調運動障害が起きている人です。脊髄は独特の構造になっているため、正常に機能していない体の部分から腫瘍の位置を推定できます。

 【治療法】
脊髄と脊椎にできる腫瘍の多くは手術で切除できます。それ以外に放射線療法による治療、手術後に放射線療法を併用する方法があります。腫瘍が脊髄を圧迫しているときには、コルチコステロイドを大量投与して腫れを抑え、できるだけ早く手術で切除するか、あるいは放射線療法を実施します。回復を左右するのは、診断・治療までにかかった時間と、腫瘍による損傷の程度です。また髄膜腫や神経線維腫などの原発性脊髄腫瘍のいくつかは、切除で治すことができます。
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