Subject  : 失語症

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 失語症
失語症は、脳の言語領域の損傷によって、話し言葉や書き言葉を表現したり理解したりする能力が部分的に、または完全に失われる障害です。
ほとんどの人は、左側頭葉の一部であるウェルニッケ野と、前頭葉の一部であるブロカ野が言語機能をコントロールしています。脳卒中、腫瘍、頭部外傷、感染症などにより、この小さな領域のどこかに損傷を受けると、言語機能の少なくとも一部が阻害されます。
失語症は言語の表現や理解能力を失う障害ですが、症状の現れ方はさまざまで、部分的なことも完全に失われることもあります。症状のばらつきは、言語機能の本質が複雑なことを反映しています。失語症の中には、書かれた言葉の意味が理解できない障害(失読症)や、ものの名前が思い出せなかったり、名前を言うことができない障害(名称失語症)も含まれます。名称失語症の人たちの中には、正しい言葉をまったく思い出せない人もいれば、名前はわかっているのにすっと口から出てこないという人もいます。伝導性失語症の人は、話される言葉も書かれた文字も理解して流暢に話すことができるのに、単語、フレーズ、文章を繰り返すことができません。

ウェルニッケ野が損傷すると起こるウェルニッケ失語症では、流暢に喋っているようで、意味不明で支離滅裂な言葉の羅列になります(言葉のサラダと呼ばれることがあります)。
ブロカ野の損傷によるブロカ失語症(表現性失語)では、言葉の意味は大部分が理解できて、どんな反応を期待されているのかも知っています。ですが、それをうまく言葉にすることができません。患者は非常な努力をしながら、言葉をゆっくりと押し出すように話し、ときどき悪態をついて話が中断します。通常は文字を書く能力にも、話す能力と同様の障害が現れます。
左脳の側頭葉と前頭葉にダメージを受けると、ほとんど完全に話せなくなる全失語が起こります。ただし感情の調節を主に行っている右脳がダメージを受けていないため、苛立ちなどの短い単語を発することはできます。回復期には言葉が話せない(不全失語)、文字が書けない(書字障害)、言語が理解できない(受容性失語)などの障害が起こります。
脳卒中や頭部外傷などによる脳の損傷後に失語症が起きた人には、言語療法が役立ちます。

 ○ ブロカ失語症
質問に対し、つっかえながらも、意味が通る答えをします。
質問:「これは何の絵ですか?」(犬がほえている絵)
答え:「イ、イ、イヌ、えー、ペット、そ、そう、ペット、ペット、ペット……ほ、ほえ……騒いでる」

 ○ ウェルニッケ失語症
質問に対し、流暢に答えますが、内容は意味不明です。
質問:「今日はお元気ですか?」
答え:「いつ? ボーブルズが来ると楽々私の川は黒い箱ウィゼルアバタエイチを流します」

 ○ 伝導性失語症
言語を理解でき自分で話すこともできますが、他の人が話したり書いたりする文を復唱することができません。
質問:「次の言葉を繰り返してください」「時計と眼鏡を取ってください」
答え:「とれいの ねがで ご ととくがさい」

 ○ 名称失語症
ものの名前を言うことができません。
質問:「これは何ですか?」(ジャケットの襟の折り返し、腕時計、ペンを指し示しながら尋ねます)
答え:「着るもの、時間がわかるもの、書くもの」
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