Subject  : 振戦(しんせん)

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 振戦(しんせん)
振戦(しんせん)は、筋肉の収縮と弛緩が繰り返されたときに起こる不随意のリズミカルなふるえです。
振戦はある程度はだれにでも起こりえます。たとえば手をいっぱいに広げたままにすると、多くの人はかすかにふるえます。このようなかすかな速いふるえは正常なもので、筋肉が神経によって一瞬ごとに精密に調節されているために現れる現象です。あまりにかすかなために、ほとんどの人は振戦に気づきません。
明らかな振戦を起こす要因には、ストレス、不安、疲労、アルコールの離脱症状(禁断症状)、甲状腺機能亢進(甲状腺の働きが過剰になる)、カフェイン摂取、刺激薬(エフェドリンなど)の使用などがあります。
振戦には異常なタイプがいくつかあります。ふるえる速さ(振動数)、ふるえの大きさ(振幅)、動きは細かいか粗いか、振戦が起こる頻度、重症度、発生時の状態(安静時か活動時か何か意図的な動きをした後か)にしたがって分類されます。

安静時か動作時か、振戦の振幅、振動数、合併している症状をみて原因の病気を考えます。代表的な原因として生理的(7〜12Hz)、本態性振戦(4〜12Hz)、パーキンソン病(4〜5Hz)、原発性起立性振戦(13〜18Hz、立ち上がったときに下肢にみられる)、口蓋振戦(口の中の振戦で脳幹部の異常でおきる)などがあります。振戦それ自体は治療の必要の無いものから、日常生活に支障をきたし治療の必要なものまであります。

 ● 本態性振戦
速く、細かいふるえです。本態性振戦は成人期の初期に多く発症しますが、どの年齢層でも起こります。ふるえは徐々に目立つようになり、高齢者ではより顕著に現れます。このタイプの振戦は60歳以上の人に多くみられるために、以前は老年性振戦と呼ばれていました。同じ家族に多発するタイプの本態性振戦は、家族性振戦と呼ばれることがありますが、原因は不明です。
手がふるえて字を書きづらい、道具をうまく扱えないなどといった不便が生じます。まれに脚に起こることもあります。安静にしているときには起こりませんが、手足を伸ばすとふるえが始まり、無理な体勢を取るとふるえが悪化します。本態性振戦は体の左右両側に起こりますが、一方の側により強く症状が現れます。頭部に起きると頭がふるえて上下に揺れ、声帯に起きると声がふるえます。
プロプラノロールなどのベータ遮断薬(ベータ‐ブロッカー)です。ベータ遮断薬が効かない場合は、プリミドンなどの抗けいれん薬が試されます。

安静時か動作時か、振戦の振幅、振動数、合併している症状をみて原因の病気を考えます。代表的な原因として生理的(7〜12Hz)、本態性振戦(4〜12Hz)、パーキンソン病(4〜5Hz)、原発性起立性振戦(13〜18Hz、立ち上がったときに下肢にみられる)、口蓋振戦(口の中の振戦で脳幹部の異常でおきる)などがあります。

 ● 安静時振戦
筋肉が休んでいるときに起きる、ゆっくりとした動きの粗いふるえで、患者が完全にリラックスした状態なのに腕や脚がふるえます。安静時振戦は、基底核を含む大脳の底部にある神経細胞群が障害されると起こります。そのような障害をもたらす原因には、パーキンソン病、リチウムや抗精神病薬などの使用、重金属による中毒(たとえば体内に銅が蓄積されるウィルソン病)などがあります。 通常はコップの水を飲むなどの随意運動の妨げにはなりません。
安静時振戦では、すべての神経学的検査とパーキンソン病を調べる検査が行われます。

 ● 企図振戦(小脳性振戦)
比較的ゆっくりとした振幅の大きなふるえで、ボタンを押すなどの意図的動作が終わるときに起こります。企図振戦は、小脳やその接合部が損傷した結果です。一般的に多発性硬化症や脳卒中が原因です。他にウィルソン病、アルコール依存、鎮静薬や抗けいれん薬の過剰使用によっても小脳の機能不全をもたらし、企図振戦を起こします。
企図振戦は手でものに触れるなどの動きをしたときに症状が強まるため、ものを取り落としたりします。小脳の状態が改善されれば振戦は起こらなくなります。

 ● 羽ばたき振戦(アステリクシス)
腕を伸ばしたり手を広げたりしたときに、粗くゆっくりとした不規則なふるえが起こります。一般的な原因は肝不全であるため「肝臓の羽ばたき」と呼ばれることもあります。しかしながら、腎不全、代謝異常による脳障害(脳症)によっても起こります。
筋肉の緊張が突然かつ一時的に失われるために、手が鳥の羽ばたきのように素早く下がったかと思うとまた元の位置に戻ります。この振戦は他のタイプの振戦やミオクローヌスを伴います。
原因となる肝臓や腎臓の病気を治療します。肝機能や腎機能が改善されると振戦も起こらなくなります。
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