Subject : 拒食症と過食症
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拒食症(神経性無食欲症)
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神経性無食欲症は、体形イメージのゆがみ、太ることへの極度の恐れ、最低限の正常体重を維持することの拒否、そして女性の場合は無月経といった特徴があります。
- 【症状】
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神経性無食欲症は、軽症で一過性の場合と、重症で慢性化する場合とがあります。神経性無食欲症になる人は、きちょうめんで、強迫的な傾向があり、知的で、成績や成功に対する自己基準が非常に高い場合が多く、周囲に気づかれずに摂食障害が進行していることがあります。食事や体重をやや気にするようになるのが、最初の徴候です。神経性無食欲症になる人の大半はもともとやせているため、そのようなことを気にするのは奇異な印象があります。そして、やせればやせるほど、太っていると思いこんで不安に陥ります。衰弱してもなお、自分は太っている、体に悪いところはないと主張し、体重減少を訴えず、治療を拒みます。
神経性無食欲症の女性は、ときには体重がそれほど減らないうちから、月経が止まります。男女ともに、性的なことへの関心が低下することがあります。一般に、心拍数低下、低血圧、体温低下、水分貯留による組織の腫れやむくみ(浮腫)、毛髪が細く柔らかくなる、体や顔の毛が濃くなるといった症状がみられます。やせ細っても活動的で、体重をコントロールしようと過度の運動をする人も多く、衰弱するまでは栄養不良の症状はほとんどみられません。うつ病もよくみられます。
、エストロゲン(女性の場合)と甲状腺ホルモンの著しい減少や、コルチゾールの増加があります。深刻な栄養不良の状態になると、体内のすべての主要器官が影響を受けます。体重が急激に、または大幅に減少した場合(たとえば、理想体重から25%以上の大幅な減少がみられる場合など)には、まず体重をすみやかに回復することが必要です。大幅な体重減少に伴い電解質や水分のバランスが乱れた状態になると、生命にかかわるおそれがあります。心臓の機能や、水分や電解質(ナトリウム、カリウム、塩化物イオン)に問題が生じると特に危険です。心臓が弱ると全身に血液を送り出す力が低下し、脱水状態になったり、失神しやすくなります。血液がアルカリ性になり(代謝性アルカローシスと呼ばれる状態)、血液中のカリウム値が低下します。食べたものを吐いたり、下剤や利尿薬を使用することによって、状態がさらに悪化することがあります。不整脈が原因とみられる突然死が起こることもあります。
- 【治療】
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治療は2段階で行われます。まず、体重を回復させて命を救う短期的な介入治療を行い、続いて、心理的な機能を改善して再発を防ぐための長期的な治療を行います。
栄養状態が改善されて容体が安定してきた患者には、長期治療を開始します。適切な量の食事を取るように指導する一方で、穏やかで思いやりのある安定した環境を確立することを目指します。薬を使った治療のほかに、個別、グループ、家族での心理療法を行います。かかりつけの医師と心理療法士が連携して治療を行う方法はしばしば有効ですが、この場合は必要に応じて摂食障害の専門家に相談したり、患者を紹介して診てもらうことが勧められます。
うつ病と診断された場合には、抗うつ薬が処方されます。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)など一部の抗うつ薬は、体重回復後の再発予防にも役立ちます。
過食症(神経性大食症)
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神経性大食症は、大量の食べものを短時間に次から次へと摂取し(むちゃ食い)、その後で食べたものを体から排除しようとする行為(排出行動)を繰り返し行うことが特徴です。
- 【症状】
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神経性大食症の人は、比較的短い時間(しばしば2時間以内)のうちに大量の食べものを摂取する、むちゃ食いと呼ばれる行為を繰り返し行います。感情的なストレスがきっかけでむちゃ食いと排出のサイクルが始まることが多く、こうした行為は通常は隠れて行われます。むちゃ食いをする人には自制心を失っているという認識がありますが、空腹でなくても食べたり、腹痛が生じるまで食べ続けたりします。
。そして、むちゃ食いによる影響を打ち消そうとして、嘔吐や下剤などの手段を使って食べたものを排出したり、徹底したダイエットをしたり、過度の運動をしたりします。
神経性無食欲症と違って、神経性大食症の人の体重は正常体重の付近を上下する傾向があります。
自己誘発性嘔吐は、歯のエナメル質の溶解、ほおの唾液腺(耳下腺)の腫れ、食道の炎症などを引き起こします。嘔吐などの排出行動を繰り返すと血液中のカリウムが減少し、不整脈が生じます。トコン(吐根)シロップ(吐剤)を大量に飲んで嘔吐を繰り返すことで不整脈が生じ、その結果、突然死することもあります。まれに、むちゃ食いで大量に食べたことが原因で胃が破裂したり食道が裂けたりし、生命を脅かす合併症を引き起こすことがあります。
一般に、神経性大食症の人はわりあいに社交的です。また、衝動的な行動をしたり、麻薬やアルコールを乱用したり、うつ病になったりしやすい傾向がみられます。
- 【治療】
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効果的な治療法として、認知行動療法と薬物療法の2種類があります。
認知行動療法では、その人の考えの異常な部分を突き止め、そうした思考をやめるための治療を開始します。心理療法士の下で4〜5カ月間にわたって週に1〜2回、合計20回ほどのセッションを受けます。認知行動療法を受けた人の約3分の2でむちゃ食いの回数が減り、約3分の1がむちゃ食いをやめることに成功しています。この治療を受けた人は、少なくとも1年間はむちゃ食いの回数が減るか、そのような行動を一切しなくなります。
抗うつ薬の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を使った薬物療法は、認知行動療法と同程度の効果を示します。ただし、薬をやめるとむちゃ食いが再開します。
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