Subject : 歯肉炎
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歯肉炎
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歯肉炎は歯肉(歯ぐき)に起こる炎症です。
歯肉炎はきわめて一般的な病気で、歯肉が赤く腫れて出血しやすくなります。初期段階ではほとんど痛みがないため病気に気づきませんが、治療せずに放っておくとより深刻な歯周炎を引き起こして、歯を失うことになります。
- 【原因】
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不十分な歯磨きが歯肉炎の最も多い原因です。歯磨きをていねいにしていないと、歯の歯肉線に沿ってプラーク(歯垢)がどんどんたまっていきます。プラークはいわば細菌のかたまりで、歯面に薄く付着していきます。また、適切に処置されていない歯の詰めもの(充てん物)の内部や、掃除が不十分な部分入れ歯、ブリッジ、矯正器具などに隣接した歯の周囲にも、プラークはたまります。72時間以上歯面に付着したままのプラークは硬くなり歯石に変化します。歯石は歯ブラシやデンタルフロスではなかなか取れません。
歯肉の色は健康なピンク色から赤色に変わり、腫れて、それまでしっかりと歯に付いていた歯肉が歯面から浮くようになります。また、歯磨きや食事のときに出血しやすくなります。
一部の薬は、歯肉組織の異常増殖を引き起こして、プラークを取れにくくし、歯肉炎を引き起こします。歯肉組織の異常増殖を招く薬には、フェニトイン(てんかん発作の治療薬)、シクロスポリン(臓器移植を受けた人への拒絶反応防止薬)、ニフェジピン(血圧と不整脈の治療薬)などのカルシウム拮抗薬があります。また、経口避妊薬、化粧品に広く使用されている鉛や蒼鉛(ビスマス)、宝飾品に含まれるニッケルなどの重金属も、歯肉炎を悪化させる原因となります。
ビタミンC欠乏(壊血病)によって歯肉が炎症を起こし出血します。ナイアシン欠乏(ペラグラ病)もまた、歯肉の炎症と出血を引き起こし、鵞口瘡(がこうそう)などの口内炎や舌炎(舌の炎症)が起こりやすくなります。
ウイルス感染によっても歯肉炎が起こります。急性ヘルペス性歯肉口内炎は、歯肉などの口内の組織がヘルペスウイルスに感染して起こる病気で、痛みを伴います。感染すると、歯肉は鮮やかな赤色に変化し、口の中に白色や黄色の小さな潰瘍がたくさんできます。
真菌感染も歯肉炎の原因となります。真菌は普通口の中でごくわずかに増殖していますが、抗生物質を使用したり全身の健康状態が低下すると、口内の真菌数が増大します。鵞口瘡は、真菌の1種であるカンジダ‐アルビカンスの異常増殖によって起こる真菌感染症で、歯肉に白い薄膜ができ痛みを引き起こします。この薄膜は、舌や口角までも覆うことがあり、ふき取ると表面から出血します。
妊娠に伴うホルモンバランスの変化は軽い歯肉炎を悪化させます。
更年期には閉経後の女性を中心に、剥離性歯肉炎と呼ばれる痛みを伴う病気が起こります。原因は、まだよくわかっていません。
あごの骨の中に半ば埋まっている、埋伏歯の歯冠を取り巻く歯肉に起こる歯肉炎は、歯冠周囲炎と呼ばれます。途中まで生え出て止まってしまった埋伏歯を覆って、歯肉は腫れます。この半埋伏歯の歯冠を覆うために伸びてきた歯肉(歯肉弁)と歯冠のすき間には、水分、食べもののカス、細菌がたまることがあります。歯冠周囲炎が発生しやすいのは智歯(親知らず)で、特に下あごの智歯に頻発します。また、上あごの智歯の方が下あごの智歯よりも先に生えると、上あごの智歯が下あごの智歯を覆う歯肉弁にあたって、痛みを増大させます。さらに感染が起きて、咽喉やほおへ広がることもあります。
- 【治療】
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歯肉炎の原因となる病気や異常がある場合は、まずその治療をします。歯肉組織の増殖を引き起こす薬の使用がどうしても避けられない場合は、余分な歯肉組織の除去手術が必要になります。しかし、ていねいな歯磨きと歯科医師や歯科衛生士による歯石除去をこまめに受ければ、組織増殖の進行を遅らせて、歯肉の除去手術を避けることができます。
新鮮な果物や野菜を食べるとともに、ビタミンCやナイアシンのサプリメントを摂取すれば、ビタミン欠乏は治せます。
真菌感染の場合は、ナイスタチンなどの抗真菌薬をうがい薬や、口の中で薬の成分がゆっくり溶け出すようにトローチの形で使用します。正しい歯磨きによって常に口の中を清潔にし、合わない入れ歯などのトラブルを解決しておきます。就寝中は、入れ歯をナイスタチン溶液に浸しておきます。
更年期の剥離性歯肉炎に対しては、ホルモン補充療法が効果があります。あるいはコルチコステロイドの錠剤や、歯肉に直接塗るタイプのステロイドクリームを使用することもあります。
下あごの智歯周囲炎が起きている場合は、歯肉弁の内側に水を噴射して、たまった食べもののかすや細菌を洗い流す処置が行われます。また、X線検査で下あごの歯が完全には生え出てこないことがわかった場合には、まず対合する上あごの歯を抜いて抗生物質を数日間服用した後に下あごの歯を抜きます。下あごの歯をすぐに抜くこともあります。
プラークコントロール(歯垢除去)に効果があるうがい薬もあります。歯石がたまってきたときには、歯石除去効果のあるピロリン酸配合の練り歯みがきが役に立ちます。しかし、いったん歯石ができてしまうと自分で完全に取り除くのは困難なので、歯科医師または歯科衛生士に取ってもらいます。この歯石除去(スケーリング)は、歯石のできる速さによって異なりますが、3〜12カ月に1回程度必要です。
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