Subject  : 睡眠薬の副作用と中毒

カテゴリー: 健康・医療情報 > 薬学


 睡眠薬の副作用と中毒
バルビツール酸系など従来の睡眠薬は習慣性があり、また薬剤耐性のみられるものも多く、だんだん量を増さないと効かなくなるといった例が多いところから、服用に際しては注意を要する。 現在、睡眠薬として内服で使用されているのは、ペントバルビタールカルシウム(「ラボナ」)とアモバルビタール(「イソミタール」)などで、きわめて少なくなった。クロラール系の抱水クロラールは坐薬(ざやく)として、トリクロホスナトリウムはシロップ剤として小児用によく用いられる。

睡眠薬の副作用でもっとも有名なのはサリドマイド事件である。サリドマイドは非バルビツール酸系の睡眠薬で、発売当時繁用されたが、催奇形作用を有したことから、これを服用した妊婦からあざらし肢症の子供が生まれ、世界的に問題となり、販売停止となった(1992年)。その後、1994年アメリカでサリドマイドに血管新生抑制作用のあることがわかり、癌(がん)の治療薬として研究がなされた結果、骨髄腫の特効薬として有効性が認められ、1998年アメリカで承認された。日本では医師の個人輸入という形で、厳重管理下において投与されていたが、2008年(平成20)10月安全管理の徹底などを条件に、多発性骨髄腫の治療薬としての製造販売が厚生労働省により認可されている。 睡眠薬中毒は急性と慢性とに分けられる。急性中毒は大量投与によるもので、誤用や特異体質によっておこることもあるが、大部分は自殺の目的で服用しておこる。急性中毒の場合は、強心剤、人工呼吸、酸素吸入、興奮剤のほか、服薬後3〜4時間以内なら胃洗浄、下剤、補液などの処置を行い、腹膜灌流(かんりゅう)、血液透析を行うこともある。「ブロバリン」(ブロムワレリル尿素)中毒の場合は、36時間以内に回復しないときわめて重症で、死の危険がある。慢性中毒は不眠に悩む人が睡眠薬に頼りすぎ、服用しないと眠れないと思い薬を飲み続け、服用量が多くなっておこるもので、中毒期間が短く服用量が少ない場合には薬剤を中断すればよいが、長期間にわたり大量に服用した場合には禁断現象がみられる。入院治療を必要とし、漸減療法を行う。

 【睡眠導入剤使用時の一般的な注意事項】
自己判断で量の増減を行わない。
アルコールと一緒に服用してはいけない(効果増強のおそれ)。
内服後は自動車や機械を運転しない(眠気による事故のおそれ)。
他人が同じ様な症状であっても個人的に譲渡あるいは転売してはいけない(薬事法などにより厚生労働大臣が指定した向精神薬規制されている睡眠導入剤の場合、麻薬及び向精神薬取締法によって処罰される場合がある)。
 ⇒ 睡眠導入剤(睡眠薬)

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