Subject  : 手根管症候群

カテゴリー: 健康・医療情報 


 手根管症候群
手関節部にある手根管とは、手根骨と横手根靭帯とからなるトンネルであり、この中に長母指屈筋腱(1本)、人差指から小指の深、浅指屈筋腱(4本ずつ8本)、正中神経があります。多くは原因不明ですが、この部において手を酷使する人の屈筋腱の腱鞘炎(けんしょうえん)、関節リウマチによる滑膜炎(かつまくえん)、人工透析患者のアミロイド沈着、腫瘍(しゅよう)、骨折などの変形で正中神経が圧迫、絞扼(こうやく)され引き起こされる障害を手根管症候群といいます。また女性に非常に多く発症し、妊娠中、閉経後に発症するので女性ホルモンとの関連もいわれます。

 【症状と診断】
初期の症状として人差指、中指のしびれ、痛み、また薬指、親指に起きることもあります。このしびれ、痛みは夜間、特に明け方に増強するのが特徴です。また手根管部に圧痛、チネル徴候が認められます。知覚異常、筋力低下は症状の進行に伴い出現します。慢性例では母指球筋の萎縮も認められます。

人差指、中指の痛み、しびれおよび夜間痛があり、知覚異常、筋力低下および萎縮(短母指外転筋、母指対立筋)が認められ、手根部の圧痛、チネル徴候があれば診断はほぼ確実です。小指と薬指(小指側半分)が、何ともなければこの病気です。 ファレンテストが陽性のことが多くなります。また、関節リウマチ、人工透析、外傷、妊娠など既往歴から原因を推測します。単純X線撮影を行い、手関節の骨性の異常の有無を確認します。必要があれば、RA(関節リウマチ)テストなどの血液検査も行ったほうがいいでしょう。また、神経の損傷の程度を調べるために筋電図、神経伝達速度の電気生理学検査を行えば、損傷、回復の程度が推測できます。

 【治療】
症状が人差指、中指のしびれ、痛み、あるいは夜間痛の軽いものの症例は鎮痛消炎剤、ビタミン剤や、手関節固定装具などの保存療法で回復が期待できます。また妊娠など、ホルモンが原因と考えられる症例は、その時期がくれば回復することが多くなります。しかしながら、明らかに筋力低下、筋萎縮の出現している症例、人工透析の症例、手根管内に骨性の異常がある症例には保存療法は無効です。  一方、手術療法は手根管開放術を行います。具体的には横手根靱帯の切離を行います。このやり方には2つの方法があります。1つは比較的大きく皮膚を切り、完全に横手根靱帯を確認して切離する方法と、もう1つは小さい皮膚切開を2つ開け、関節鏡を使用し鏡視下で横手根靱帯を切離する方法です。この2つの方法には一長一短がありますが、どちらの方法を行っても良好な結果が得られます。  また、筋力低下、筋萎縮の高度な症例に対しては母指対立形成術を行います。私たちは長掌筋腱を用いるカーミッツ(Camitz)法を行っていますが、良好な成績を得ています。通常、横手根靱帯の切離のみを行う場合、手関節の固定の必要がありませんが、母指対立形成術を行った場合は3週間の固定が必要となります。
 ⇒ しびれ

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