Subject  : 屈折矯正手術

カテゴリー: 健康・医療情報 > 眼科


 屈折矯正手術
屈折異常の一般的な治療は、眼鏡を使用することでが、角膜の形を変える眼科手術やレーザーにより屈折異常を治療する方法もあります。
近視、遠視、乱視を矯正するには、手術やレーザー治療(屈折矯正手術)という方法もあります。これらの手技は、角膜の形状を変えて光が網膜上で正しく像を結べるようにするもので、通常は眼鏡やコンタクトレンズでの矯正と同様の視力矯正が可能です。これらの治療を受ける前には、眼科医と十分に話し合い、視力矯正に対する自分自身の必要性や希望を手術のリスクや利益に照らして注意深く検討することが大切です。屈折矯正手術が特に適しているのは、コンタクトレンズの装用に耐えられない人や、眼鏡やコンタクトレンズの装用が障害となるようなスポーツ(水泳やスキーなど)をする人です。

手術を行う前に屈折異常の程度(眼鏡の度数)を厳密に測定します。また、全般的な眼の検査も行います。特に、角膜表面の細胞(角膜の上皮がしっかりくっついているかどうかも含めて)、角膜の形と厚さ(パキメトリーによる測定)、明るい状態および暗い状態での瞳孔の大きさ、眼圧、視神経、網膜については念入りに検査します。屈折矯正の手術自体は比較的簡単で、不快感もそれほど生じません。点眼薬により眼に麻酔がかけられます。眼は動かないよう固定されますが、患者自身も手術の間は眼を動かさないよう注意する必要があります。通常は、手術当日に帰宅できます。

手術の合併症としては、矯正のしすぎ(過矯正)、矯正不足、重度の炎症、感染症、複視、明るい光をまぶしく感じる(羞明[しゅうめい])、光の周囲にぎらつき(グレア)やにじみ(ハロ)が見える、夜になるとものが見づらくなり運転などに支障が出る、角膜にしわができる、角膜内に細胞が侵入したりその他の物質の沈着が起こる―などがあります。
手術前の眼鏡の度数が低かった場合は手術後の視力が1.0以上になる可能性が高くなります。また、遠くを見るのに眼鏡を必要としない場合でも、40歳以上ではほとんどの人が老視のため、手術後も本や新聞を読むときに眼鏡を必要とします。

 ● レーシック(LASIK:レーザー角膜内切削形成術
レーシックは最も一般的に行われている屈折矯正手術で、近視、遠視、乱視の矯正に用いられます。レーシックでは、マイクロケラトームというナイフを使って角膜中央部の表層をごく薄く削いで、フラップと呼ばれる、ふた状にめくれる部分をつくります。フラップの下のむき出しになった角膜実質組織をエキシマレーザーのパルスでわずかずつ気化させて削り取ることによって、角膜の形状を変化させます。レーザー照射後、フラップは元の位置に戻され、数日で治癒します(ただし、元のように完全にくっつくわけではありません)。手術中や手術後の不快感はほとんどありません。視力の回復も早く、多くの人は1〜3日程度で普通に仕事ができるようになります。レーシックに適さない人としては、屈折異常の手術全般に適さない状態にある人、角膜が薄い人、角膜表層にたるみのある人、瞳孔が大きい人などが挙げられます。

 ● PRK(レーザー屈折矯正角膜切除術)
エキシマレーザーで角膜の形を形成する手術です。主に、中程度の近視、軽度の乱視、遠視を矯正する目的で行われます。コンピューター制御により高度に収束した紫外線パルスを用いて、角膜実質を少量削り取って形成し、光が網膜上で正しく焦点を結ぶようにします。これにより、眼鏡なしでもよく見えるよう視力を改善させます。手術は片側につき1分未満で終わります。PRKは、レーシックに比べると術後に不快感が強く回復も長くかかるという短所がありますが、レーシック手術に適していない人、たとえば角膜表層にたるみがある人や角膜が薄い人でも手術できる場合があります。

 ● 放射状角膜切開術(RK)
小さなメスで角膜に深い切りこみを入れる方法で、近視、乱視の矯正に使用されます。 放射状角膜切開術では、角膜に放射状(自転車の車輪のスポーク状)の小さい切りこみを入れます。通常、切りこみの数は4〜8本です。角膜の厚さはわずか0.5ミリメートルであるため、切りこみの深さを正確に決めることが必要です。医師は、患者の角膜の形と視力を考慮して、角膜のどこに切りこみを入れるかを決めます。 放射状角膜切開術は、よりリスクが低く結果が良好なレーザー屈折矯正手術が進んできたため、今日ではほとんど行われなくなっています。

 ● 乱視矯正角膜切開術
自然に生じた乱視、白内障手術後に生じた乱視、角膜移植後に生じた乱視の矯正を目的とした手術です。この手術では、角膜の周辺部に、角膜の縁に対して平行になるように曲線または直線の深い切りこみを1本または2本入れます。

 ● レーザー熱角膜形成術(LTK)
軽度の遠視で乱視を伴っていない人の治療に用います。切開を伴わず、短時間で終わる手術で、角膜に何カ所かレーザーで熱を加え小さいやけどのような状態にして組織を萎縮させます。リスクは少ない半面、一部の人では時間がたつにつれて手術の効果の一部またはほとんどが失われることがあります。

 ● レーザー角膜上皮屈折矯正術(LASEK:レーゼック)
レーシックを改良した手術法で、近視、遠視、乱視の矯正に用いられます。PRKと同様、LASEKは角膜が薄い人に対してレーシックよりも適しています。

 ● 角膜実質内リング挿入法
軽度の近視で乱視を伴っていない場合に用いられます。角膜の実質層(中央部の層)内に円弧状のプラスチックリングを移植する方法です。この方法は組織の切除を伴わないので、移植したリングを取り外せば眼を元の状態に戻すことが可能です。

 ● その他の屈折矯正手術
近視が非常に強い人では眼の中にプラスチックレンズを入れる手術が適しているケースもあり、レンズを虹彩の前に入れる有水晶体眼内レンズ移植、虹彩と本来の水晶体の間に入れる植えこみ型コンタクトレンズ、本来の水晶体を除去した後に虹彩の後ろにレンズを入れる眼内レンズ移植を伴う水晶体摘出術などといった方法があります。このような手術では眼球に切開が加えられるため、重度の感染を起こすリスクがわずかながらあります。
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