Subject  : 甲状腺機能低下症

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 甲状腺機能低下症
 ほとんどの甲状腺機能低下症は、「甲状腺を攻撃する抗甲状腺抗体というものができて起こる自己免疫疾患」です。
自己免疫反応のためにおこる慢性の甲状腺炎を「橋本氏病」と呼んでいます。このホルモンが低下すると元気がなくなり、動脈硬化などの老化が早まります。 甲状腺ホルモンは全く無くなると、1ヶ月ぐらいしか生きられないと言われています。甲状腺機能低下症では甲状腺は萎縮して小さくなることが多いため、甲状腺の腫れはあまりみられません。
 甲状腺の働きが高度に低下すると、むくみや活動性の低下がはっきりとでます。しかし、軽症ではなかなか気づかれにくく、中等症でも見落とされたり、別の病気と誤診されることが大変多い病気です。

 【症状と診断】
全身症状としては、「元気がなくなる」、「疲れやすい」、「脱力感」、「寒がり」、「体重増加」、「食欲低下」、「便秘」など。 精神症状は 、「記憶力低下」、「集中力低下」、「動作が緩慢」、「痴呆ではないが、一見痴呆と間違われる」など。 皮膚症状は 、「発汗低下」、「皮膚乾燥」、「黄色皮膚(カロチン血症)」など。 顔つきでは、「腫れぼったい」、「大きな口唇や大きな舌」など。 下肢では「むくみ(押してもへこみが残らないことが多い)」が起こりやすい。 髪や眉は、「白髪が増加」、「脱毛」、「眉の外側1/3が薄い 」など。 そのほかの症状では、「声が低く」、「しわがれ声」、「月経過多」、「筋力低下」、「こむら返り」など。

 甲状腺機能低下症は、一般検査の異常から疑われ、見つかることも少なくありません。 「総コレステロール上昇」、「中性脂肪上昇」、「CPK上昇」、「血沈亢進」、「γ-グロブリン上昇」などの血液検査の異常。胸部 レントゲンでの「心拡大(俗にいう心肥大)」、心電図では「徐脈」、「低電位」、「T波平低、T波陰性化」など。  ただし、上記の症状は甲状腺機能低下症に特徴的というわけではなく、他の病気や加齢とともに増える所見です。 また、症状や検査の異常は全例にあるわけではなく、強くでる人と余りでない人があります。特に、高齢者の場合では症状が乏しいことが多いので、少しでも疑われたら、一度TSHを検査したほうがよいでしょう。 ごく軽症の甲状腺機能低下症でも甲状腺刺激ホルモン(TSH)は高値になります。軽症以上の甲状腺低下症では血中甲状腺ホルモン(遊離T3、遊離T4)が低下します。さらに、橋本氏病では抗甲状腺抗体(抗TPO抗体、抗Tg抗体)が陽性になります。

 【治療】
内服療法で、不足している甲状腺のホルモン剤を内服します。   普通1日に1〜2錠を飲みますが、ホルモンのバランスを見ながら薬を加減してゆきます。 薬は数カ月から数年の間だけ飲んだら後はいらなくなる人もまれにありますが、多くの場合は一生薬を続けなければなりません。 ホルモンのバランスがとれればあとは、3ヶ月から半年おきの血液検査で十分です。
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