Subject : SAPHO症候群
カテゴリー: 健康・医療情報
SAPHO症候群
1960年代から掌蹠膿疱症、膿疱性乾癬、化膿性汗腺炎、重症座瘡などの慢性皮膚疾患と、前胸部の鎖骨・胸骨・肋骨を中心とした無菌性骨炎や末梢滑膜炎など骨関節症状との関連が指摘されていたが、1987年に骨炎を共通に有する疾患概念としてSAPHO(Synovitis、Acne、Pustulosis、Hyperostosis、Osteitis)という頭文字で皮膚・骨・関節に症状を認める疾患として分類することが提案された。
SAPHO症候群では体軸の関節が侵されやすく、一部にHLA-B27陽性の頻度が高いとする報告がある。潰瘍性大腸炎・クローン病を合併する頻度も高いことより、脊椎関節炎(SpA)との関連を示唆する意見もある。
<出典:大阪大学>
【症状】
特徴
英語名
メモ
滑膜炎
Synovitis
体軸(脊椎、椎間板、靭帯骨棘)および末梢の関節炎
座瘡
Acne
重症座瘡(集簇性座瘡、汗腺膿瘍など)
膿疱症
Pustulosis
掌蹠膿疱症
骨化症
Hyperostosis
骨のびらんと新生が混在しやがて骨化する(骨硬化による腫大)
骨炎
Osteitis
無菌性の骨炎(鎖骨・上部肋骨など前胸部に多い)、下顎骨の硬化性骨髄炎
1988年Benhamou CLらによる基準がよく使用される。
1 集簇性座瘡、重症座瘡や化膿性汗腺炎に伴う骨・関節症状
2 掌蹠膿疱症に伴う骨・関節症状
3 皮膚病変の有無に関わらず前胸壁、四肢や脊椎の骨過形成
4 皮膚病変の有無に関わらず体軸系や末梢骨格におよぶCRMO
1〜4のうちひとつでもあればSAPHO症候群に含める。
【治療】
疾患が稀少なため確立した治療法はなく、実際には少数例の治療報告例を元に治療がなされている。NSAIDsが第一に用いられるが、痛みの強い例にはステロイドや抗リウマチ薬(MTX、スルファサラジンなど)が使用され効果があることがある。ビスフォスフォネート製剤による骨吸収阻害により痛みが消失し寛解に至ることがある。製剤の中ではパミドロネート点滴の報告が多いが他のビスフォスフォネート製剤での有効例の報告もある。こうした治療に対して難治性病変には抗TNFα製剤(インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブなど。本邦では保険適応外)が投与され著効する例も報告されている。また、扁桃腺の腫大や口腔内感染・アレルギーとの関連が疑われており、本邦からは掌蹠膿疱症やSAPHO症候群に対する扁桃摘出術の有効性が報告されている。
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