Subject  : 自己免疫性肝炎(AIH)

カテゴリー: 健康・医療情報 > 自己免疫疾患


 自己免疫性肝炎(AIH)
 多くの場合には慢性に経過する肝炎で、肝細胞が障害されます。血液検査では肝臓の細胞が破壊される程度を表すASTやALTが上昇します。自己免疫性肝炎が発病するのには免疫の異常が関係していると考えられています。中年以降の女性に好発することが特徴です。原因がはっきりしている肝炎ウイルス、アルコール、薬物による肝障害、および他の自己免疫疾患による肝障害を除外して診断します。また、治療では副腎皮質ステロイドが有効です。英語での病名はAutoimmune hepatitisであり、頭文字を略してAIH(エー・アイ・エッチ)と呼ばれます。

 【原因】
 原因は不明です。血液検査でAST、ALTの持続的上昇、 自己抗体 ( 抗核抗体 や抗平滑筋抗体)が陽性で 免疫グロブリン 、ことにIgGの血中濃度が高く、副腎皮質ステロイドによる治療によく反応することなどから、自己免疫が関与していると考えられています。肝臓の組織検査でもリンパ球が多数肝内に存在し、肝細胞が障害されている像が認められます。ウイルス感染や薬剤服用、妊娠・出産後に発症する場合もあり、これらが発症の引き金となる可能性が報告されています。

 【症状】
 通常は自覚症状がなく、健診などで偶然発見されることが多いようです。 全身倦怠感 、疲労感、食欲不振などの症状を訴える方もおられます。急性肝炎として発症する場合は、倦怠感、 黄疸 、食欲不振などの症状がみられますが、自己免疫性肝炎に特徴的な症状はありません。病気が進行した状態で発見される場合もあり、肝硬変へ進行した状態では、下肢のむくみ、腹水による腹部の張りや吐血(食道静脈瘤からの出血)などの症状がおきることがあります。関節リウマチなど他の自己免疫疾患を合併することも稀ではない。

 【治療法】
 治療の基本は免疫抑制薬の内服で、まず副腎皮質ステロイドという飲み薬を使用します。副腎皮質ステロイドであるプレドニゾロンを、発症時には30〜40mg/日(病状が重い場合には50〜60mg/日)服用します。これによって肝機能検査値は改善しますので、推移を見ながらプレドニゾロンの量を5〜10mg/日までゆっくり減らします。治療の目標は肝機能検査値、ことにALTとIgGの正常化です。当初から、あるいはプレドニゾロンの減量中に、アザチオプリンという別の薬を50〜100mg/日で一緒に服用する場合もあり、これによってプレドニゾロンの減量を早めたり、中止したりできる場合があります。ただ、副腎皮質ステロイドあるいはアザチオプリンを両方とも完全に中止すると、多くの場合自己免疫性肝炎が 再燃 し、肝機能検査値が再び悪化してしまうため、数値が安定する最低量のプレドニゾロンないしアザチオプリンを維持量として、長期間内服する必要があります。減量の途中、あるいは維持量内服中に病気が 再燃 した場合は、副腎皮質ステロイドの増量やアザチオプリンの併用を考慮します

<出典:難病情報センター>
 ⇒ 肝炎

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