Subject  : 血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome: HPS)

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 血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome: HPS)
 血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome: HPS) は,骨髄,脾臓,リンパ節など網内系における活性化マクロファージによる自己血球の貪食を特徴とする疾患である。 高熱,血球減少,凝固異常,肝障害 等の症状を呈し,しばしば致死的な経過を辿る。

家族性血球貪食症候群はリンパ球の細胞障害性顆粒の産生および搬送・分泌過程を制御する遺伝子群の異常により、マクロファージやリ ンパ球の過剰反応が持続し、多様な臓器障害が引き起こされる疾患群である。二次性血球貪食症候群では、感染症、リンパ腫などの疾患群の発症に付随して同様 の病態を呈する。

感染症、DICを併発することが多い。その他、高LDH血症を伴う肝機能障害、凝固異常、低蛋白血症、低コレステロール血症、高ト リグリセライド血症、高フェリチン血症などが観察されることがある。骨髄は低形成のことが多く、血球のうち主に赤血球を貪食するマクロファージが増加する。

 【原因】
 家族性血球貪食症候群の遺伝子異常としてはperforin, syntaxin11, MUNC13-4が報告されているが、日本人の約50%の症例では原因遺伝子が不明である。二次性血球貪食症候群は様々な原因によって発症するが、共通した原因は未解明である。

 【症状】
 抗生剤不応性で持続する発熱、皮疹、肝脾腫、リンパ節腫張、出血症状、けいれん、肺浸潤、腎障害、下痢、顔面浮腫、など多彩である。

 【治療】
 家族性血球貪食症候群に対して骨髄移植。二次性の疾患に関しては原疾患の治療に加えて、ステロイド、サイクロスポリンA、VP-16が用いられる。

 ■ 血球貪食性リンパ組織球症(hemo- phagocytic lymphohistiocytosis: HLH)
 血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome: HPS)は骨髄などの網内系組織において炎症性サイトカインにより活性化された組織球が増殖し自己血球の貪食が認められる病態で、血球貪食性リンパ組織球症(hemo- phagocytic lymphohistiocytosis: HLH)、マクロファージ活性化症候群(macrophage activating syndrome: MAS)とも呼ばれる。発熱、フェリチンなどの炎症マーカー上昇、血球低下、DIC、肝障害、中枢神経障害を特徴とする生命を脅かす全身性の高炎症症候群である。炎症、多臓器不全、ショックなどを伴い死亡リスクが高い。

HLH の用語は小児疾患の病理学的特徴に由来し、PRF1欠損症や他の原因遺伝子の発見よりも前から存在するが、先天性遺伝子異常に使用されることが多い。MASは自己免疫疾患の合併症として生じマクロファージの異常な活性化によるサイトカインストームと呼ばれる炎症性サイトカイン(IFNγ、IL-6、TNFα、IL-12、IL-18など)の異常産生による症状を呈する。

現在のより広範なHLHの定義では二次性HLHにMASが含まれ、一次性と二次性HLHを「HLH/MAS」と呼ぶこともある。HLH/MASは感染症、悪性疾患、リウマチ性疾患が基礎疾患としてある場合に発症するが、頻度は低いが過剰炎症を起こしやすい潜在的な遺伝的先天性免疫異常の症状としても発症する。早期の発見と介入により、臓器不全や死亡を防ぐことができる。

<出典:>
 ⇒ 血液の主な病気

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