Subject  : 自己免疫性後天性凝固因子欠乏症

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 自己免疫性後天性凝固因子欠乏症
 血液が凝固するために必要なタンパク質である凝固因子が、先天性や遺伝性ではない理由で著しく減少するため、止血のための止血栓ができにくくなったり、弱くなって簡単に壊れやすくなり、自然にあるいは軽い打撲などでさえ重い出血を起こす疾病である。

欠乏する凝固因子の種類により、 1)「自己免疫性後天性凝固第 XIII/13 因子(F13)欠乏症(旧 称:自己免疫性出血病 XIII)」、 2)「自己免疫性後天性凝固第 VIII/8 因子(F8)欠乏症(後天性血友病 A)」、 3)「自己免疫性後天性フォンウィルブランド因子(von Willebrand factor:VWF)欠乏症(自己免疫性後天性フ ォンウィルブランド病(von Willebrand Disease:VWD))」、 4)「自己免疫性後天性凝固第 V/5 因子(F5)欠乏 症(いわゆる第 5 因子インヒビター)」の4疾病がある。

 ■ 自己免疫性後天性 F13 欠乏症
 自己免疫性後天性 F13 欠乏症では、血の固まる速さを調べる一般的な検査(PT、APTT などの凝固時間) の値はあまり異常ではないにもかかわらず、突然出血する。体の軟らかい部分である筋肉・皮膚の出血 が多いが、身体のどの部位にでも出血する可能性がある。急に大量に出血するので貧血になり、ショック 状態を起こすこともある。出血する部位によって様々な症状(合併症)が起きる可能性がある。特に脳を含 む頭蓋内の出血では脳神経系に、心臓や肺がある胸腔内の出血では循環器系に重い障害を起こし、致 命的となる場合もある。

 ■ 自己免疫性後天性F8欠乏症
 自己免疫性後天性F8欠乏症では、出血症状が重篤なものが多く、突然広範な皮下出血や筋肉内出血を 多発することが多いが、血友病A(遺伝性 F8 欠乏症)と異なり、関節内出血はまれである。特に、頭蓋内、 胸腔内、腹腔内出血や後腹膜出血などは、致命的となり得るので注意が必要である。

 ■ 自己免疫性後天性 VWF 欠乏症
 自己免疫性後天性 VWF 欠乏症の出血症状は、極めて多彩である。症例は、軽症から致死性のものまで 種々の重症度の出血症状を突然発症するが、まれに検査上の異常のみを示す症例も存在する。急に大 量に出血して貧血になり、ショック状態を起こすこともある。特に脳を含む頭蓋内の出血では脳神経系に、 心臓や肺がある胸腔内の出血では循環器系に重い障害を起こし、致命的となる場合もある。

 ■ 自己免疫性後天性 F5 欠乏症
 自己免疫性後天性 F5 欠乏症の出血症状は、極めて多彩であるが、尿路出血や消化管出血が多い。症 例は、軽症から致死性のものまで種々の重症度の出血症状を突然発症する。検査上の異常のみを示す 症例もしばしば存在する。急に大量に出血して貧血になり、ショック状態を起こすこともある。特に、死亡例 の半数は脳出血を含む頭蓋内出血が原因であるので注意が必要である。

<出典:>
 ⇒ 血液の主な病気

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