Subject : 免疫グロブリン(IgG)
カテゴリー : 学術情報 > 生化学
免疫グロブリン(Immunoglobulin G)
- 免疫グロブリンは、B細胞系の細胞が産生する蛋白であるが、
その中で血中で最も多量に存在するのが、免疫グロブリンG
(immunogloburin G ; IgG)です。
IgGは分子量約15万の蛋白である。基本的にheavy chain(IgGの場合はγ鎖)が2本と、χ鎖またはλ鎖のどちらかのlight chain2本が結合して、1分子のIgGを構成する。IgGは、構造の類似した4種類のサブクラス(subclass)に分かれることが知られている。蛋白分画でのγ分画の多くはIgGであり、この分画の増加、減少の変動の主体はIgGである。血中のIgGは各種免疫不全症、感染症、腫瘍、自己免疫性疾患を含むさまざまな抗体産生系の異常をきたす疾患の、モニタリングの目的で測定される。質的なIgGの異常はM蛋白が代表的なもので、骨髄腫、良性M蛋白血症などの疾患でみられるものである。IgG値は他のクラスの免疫グロブリンと同時に測定されることが多いが、この場合の多クローン性のIgG値は、疾患の確定診断というよりはむしろ病態の把握のために測定されることが多い。質的な免疫グロブリンの異常、すなわちM蛋白が存在する場合、それが骨髄腫由来かどうかの鑑別にIgGを含む各クラスの免疫グロブリンの定量値は重要な情報となる。すなわちM蛋白が骨髄腫由来の場合、その他の(正常の)多クローン性の免疫グロブリンは、著しく低値となることが多いからである。
- ● 異常値の検査と主な疾患
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基準範囲 870〜1818 mg/dl
小児の基準値
IgGは胎盤通過性があり出産直後は成人レベルとなる。出生時から自身の産生はあるが、半減期が20日余りであることから母体由来のIgGは急速に低下、総IgG量としては生後3〜4ヶ月で最低となり、その後、産生組織の発達に伴い、血中濃度は徐々に増加し10歳頃成人レベルに達する
検査方法 免疫比濁法
高値を示す主な疾患:
多クローン性: 慢性肝疾患(慢性肝炎、肝硬変、肝臓癌、ルポイド肝炎)、急性肝炎回復期、感染症(肺結核、亜急性心内膜炎、らい、伝染性単核球症、連鎖球菌感染症など)、膠原病(SLE、RAなど)、悪性腫瘍(特に感染症合併の場合 リンパ増殖性疾患、悪性リンパ腫など)、ネフローゼ症候群、嚢胞性線維症、火傷回復期など
単クローン性: 骨髄腫(多発性骨髄腫、孤立性骨髄腫)、形質細胞性白血病、本態性M蛋白血症、H鎖病(γ鎖病)
質的異常を伴う増加: パイログロブリン、クリオグロブリン
低値を示す主な疾患:原発性免疫不全症(重症複合免疫不全症、Gatti-Lux症候群、アデノシンデアミナーゼ欠損症、細網異形成症、Good症候群、小児伴性無γグロブリン血症(Bruton型)、乳児一過性低γグロブリン血症、常染色体性劣性低γグロブリン血症、プリンヌクレオチドホスホリラーゼ欠損症、分類不能型免疫不全症(common variable immunodeficiency ; CVID)、dysgammaglobulinemia(IgG欠損症、χ鎖欠損症、毛細血管拡張性運動失調症(ataxia telangiectasia)、Wiscott-Aldorich症候群)、リンパ系腫瘍(CLL、悪性リンパ腫、胸腺腫など)、自己免疫性疾患、サルコイドーシス、慢性感染症、遅延感作病、AIDSを含むウイルス感染症、蛋白漏出性疾患(ネフローゼ症候群、蛋白漏出性胃腸症)、免疫抑制療法施行時(X線照射、摘脾、抗癌剤投与、ステロイド、免疫抑制剤投与)、内分泌異常(クッシング症候群など)、免疫グロブリン異化亢進(myotonic dystrophyなど)、老化、栄養状態の悪化、尿毒症、悪疫質
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免疫グロブリン
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