Subject   : 補酵素(Coenzymes)

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 補酵素(Coenzymes)
補酵素とアポ酵素(補酵素を欠く酵素のタンパク質部分)はそれぞれ単独では化学反応触媒として機能せず、両者が混在する条件と基質分子が存在することにより、初めて酵素として機能する。補酵素とアポ酵素が結合した機能性酵素のことを『 ホロ酵素』という。なお全ての酵素が補酵素を要求するわけではない。
補酵素とは、酵素反応の化学基の授受に機能する低分子量の有機化合物である。一般に補酵素は酵素のタンパク質部分と強い結合を行なわず可逆的に解離して遊離型になる(反対に不可逆的な解離を行なうものは補欠分子族と呼ばれる)。
補酵素の多くはビタミンとして良く知られており、生物の生育に関する必須成分として良く知られている。別名、コエンザイム、コエンチーム、助酵素など。

複合タンパク質型酵素の非タンパク質部分を補酵素(Coenzymes)という。 補酵素を必要とする酵素におい て,補酵素は触媒する反応の重要な部分を担う。 補酵素の分子中には左のようなアデニンヌクレオチ ド(ADP)を含むものが多い。この部分は「ヌクレオチドハンドル」と呼ばれ,一般に補酵素の機能には関 与しない。ヌクレオチドハンドルは酵素分子に補酵素を認識させる役割をもつ。

● アデノシン三リン酸 (Adenosine triphosphate, ATP)
高エネルギー化合物の代表である。吸エルゴン反応と共役してエネルギーを供給する。 ATP + H2O → ADP + Pi + 30.5 kJ
ATP + H2O → AMP + PPi + 32.2 kJ 
 (この場合は,ATP 2モルが消費されたことに相当する)
また基質としても働き、キナーゼの補酵素としてリン酸基転移やAMP基転移に関与する。
ATPは次のようにしてつくられる。 1. 基質レベルのリン酸化(解糖) 2. 酸化的リン酸化(呼吸鎖) 3. 光リン酸化(光合成)

● ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド (Nicotinamide adenine dinucleotide, NAD+)
デヒドロゲナーゼの補酵素の代表である。アルコール,アルデヒドなどの酸化還元反応の際の水素の授受に広く関与する(下図を参照)。異種 原子間の2つの水素を同時に引きぬく点がFADと異なる。NADH + H+をNADH2 +と表すことがある(本サイトではスペースの関係でこの表記法 をとっている)。NADH2 +は呼吸鎖に入り,3 ATPを生成する。
 特殊な例として,NAD+のニコチンアミド部分が切り離され,残りのADP-リボースがタンパク質のArg残基に結合する反応(ADP-リボシル 化)の基質となることがある。

● ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸 (Nicotinamide adenine dinucleotide phosphate, NADP+)
NADPH2は脂肪酸合成、コレステロール合成、光合成などに必須の補酵素であり、生体内での需要が多い。動物ではホスホグルコン酸回路) で大部分が合成される。  酸化還元反応において水素の授受に関与する。構造的にはNAD+とはリン酸基が付 いただけの違いで,ともにデヒドロゲナーゼの補酵素となる。しかし、NAD+とは異 なり、異化代謝ではなく、通常,脂肪酸合成や光合成のような同化代謝で利用され る。

● フラビンアデニンジヌクレオチド (Flavin adenine dinucleotide, FAD)
酸化還元反応の際の水素の授受に関与する(下図を参照)。NAD+と共に、デヒドロゲナーゼの補酵素として働くが,炭素原子上の2つの水素を1 つずつ引きぬく点でNAD+と異なる。酵素結合型の場合もあり、フラビン環のCH3基がCH2になって,酵素のHisやCys残基に共有結合する。  (例) コハク酸 + FAD → フマル酸 + FADH2; アシル-CoA + FAD → 2,3-トランスエノイル-CoA + FADH 2

● 補酵素A (Coenzyme A, CoA)
アセチル基をはじめとして、種々のアシル基の転移反応に関与する。アシル基は末端のSH基にチオエステル結合で結合するため、アシル- CoAは高エネルギー化合物の一つである。  アセチルCoAは、例えば脂肪酸のb-酸化など多くの代謝過程で生じ、TCA回路の入口として重要な代謝中間体であると共に、ケトン体、 脂肪酸の合成など、多くの化合物の原料としても利用される。補酵素AのAはAcetylationの意味。

● リポ酸 (a-Lipoic acid)
ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体や2-オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体の補酵素の一つとして用いら れ、アシル基転移に関与する。

● 補酵素Q (Coenzyme Q, CoQ)
電子伝達系の電子伝達体として用いられ,2Hの転移反応に関与する。 すべての生物に普遍的(ubiquitous)に存在するので,ユビキチンとも呼ば れる。
 ⇒ 酵素(こうそ)
 ⇒ 補欠分子族

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