Subject   : レムナント(remnant)

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 レムナント(remnant)
 リポ蛋白リパーゼ(LPL)の作用により、 カイロミクロンやVLDLより、トリグリセリドが失われた残余体は、レムナント(remnant:レムナントリポ蛋白)と呼ばれる。  外因性リポ蛋白代謝で生じるカイロミクロンレムナントや、内因性リポ蛋白代謝で生じるVLDLレムナントとがある:主要なアポ蛋白は、カイロミクロンレムナントはB-48で、VLDLレムナントはB-100。なお、III型高脂血症では、レムナントとして、β-VLDLが増加する。  レムナントは、コレステロールとトリグリセリドをほぼ同量(30〜40%)含み、アポEとコレステロールエステルに富んでいる。  IDLをVLDLレムナントと呼ぶこともあるが、正確には、比重が1.006より軽いものがVLDLレムナント。  肝臓から分泌されたVLDLは、リポ蛋白リパーゼ(LPL)の作用を受けてトリグリセリド含量が減少し、より小型で比重の高いレムナントになる。このレムナントは、カイロミクロン-レムナントと同様の比重を持ち、比重分離上はIIDL分画に現われる。
 VLDLレムナントは、血管壁に取り込まれやすく、レムナント中のコレステロールが血管壁に蓄積する。
 レムナント様リポ蛋白コレステロール(remant-like particles-cholesterol:RLP-C)として、カイロミクロンレムナントやVLDLレムナントは、測定可能になった。  (空腹時だけでなく、食後の)RLP-C値は、動脈硬化の危険因子と考えられている(食後のVLDLの分解障害のために増加する、VLDLレムナントが、動脈硬化の危険因子だという)。
 レムナント粒子は、健康な人では、肝細胞などによって速やかに吸収・分解されるが、動脈硬化の患者では、血液中に長く留まる。  なお、トリグリセリドに富んだレムナントの増加は、血液検査では、高トリグリセリド血症として、捉えられる。高トリグリセリド血症では、HDL値が低下し、動脈硬化が促進される。(高トリグリセリド血症は、カイロミクロン、VLDL、カイロミクロンレムナント、VLDLレムナント、IDLが増加すると、起こる。)  RLPは、ずり応力による血小板の凝集を、増強させる:RLPは、ずり応力がかかった時に、血小板が凝集し易くする。  RLP-Cは、平滑筋細胞を増殖させ、動脈硬化を促進させる。  RLP-Cは、血小板凝集を促進し、血液粘度(血液粘稠度)を亢進させ、血栓を形成させ易くする。  RLP-Cは、それ自体が粘稠性があり、血液をドロドロ(ドロドロ血液)にし、血行を悪くし、於血(おけつ)の原因となる。

 LDLは、酸化LDLになって初めて、マクロファージを泡沫化させて、動脈硬化を起こすが、レムナントは、酸化されなくても、マクロファージを泡沫化させる。

 RLP分画中のトリグリセライド(RLP-TG)は、冠動脈硬化がほとんどないような突然死症例で非常に高い。このような症例では、赤血球が血小板表面に密着するような形で凝集しており、シクロオキシゲナーゼ(COX)を介する経路とは別の経路で、RLP-TGが血小板を凝集させるためと考えらる。 
 RLP(レムナントリポ蛋白)は、血管内皮細胞に強い炎症を引き起こす。単球由来のU937細胞を用いて、血管内皮細胞(HUVEC)への接着を研究した結果、PLP濃度が高くなる程、単球(U937細胞)の接着が増加する。  RLP(レムナントリポ蛋白)が接触した冠動脈は、攣縮(冠攣縮)しやすくなる。

 レムナントは、HDLから転送されるアポ蛋白のアポEと結合している。カイロミクロンのアポC-II蛋白は、HDLに転送される。  レムナントが肝臓に取り込まれる際は、レムナントのアポEと肝臓のレムナント受容体の結合を介するとされる。  VLDLレムナントは、肝臓で、LDLに変換される。

 レムナントは、リポ蛋白リパーゼ(LPL)により、カイロミクロンやVLDLが分解されて、産生される。  脂肪摂取後に増加するカイロミクロンは、リポ蛋白リパーゼ(LPL)の分解作用に関して、VLDLと競合する。  カイロミクロンが増加する(食事の脂肪量が多い)と、large VLDLからsmall VLDLへの分解が阻害されるという。  VLDLが増加する(血液中のトリグリセリド値が高くなる)と、(HDLを生成する、カイロミクロンの分解が進まず)HDLが低値になることが多い。

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