Subject : タンパク質の構造
カテゴリー : 学術情報 > 生化学
タンパク質の構造
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タンパク質(protein)は,アミノ酸が多数ペプチド結合で鎖状につながった高分子化合物である。
タンパク質の骨格であるポリペプチド鎖には方向がある(N末端とC末端)。アミノ酸の種類に無
関係な -NH-CH-CO- のつながりを,主鎖(main chain)という。また,アミノ酸に固有の原子団部分
を側鎖(side chain)という。主鎖はタンパク質の立体構造を支え,側鎖はそのタンパク質が固有の機
能を発揮するために必要な原子団を供給する。
タンパク質は固有の立体構造をもち、立体構造はタンパク質の機能と密接に関連している。タンパ
ク質の構造は,次のような4つの階層構造(1次〜4次構造)に分けて理解することが出来る。
1次構造: アミノ酸配列のこと
2次構造: ペプチド主鎖の規則正しい折れ曲がり構造。α-helix,β-sheet,β-turnなど
3次構造: タンパク質全体の立体構造
4次構造: タンパク質分子が複数集合して複合体を形成している場合
生体内でタンパク質は種々の物質と結合し、複合タンパク質として存在する場合が多い。タンパ
ク質は生体内でたくさんの機能を発揮している。タンパク質の機能はその高次構造(2〜4次構
造)と密接に関連している。
- ■ タンパク質の1次構造
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タンパク質を構成するアミノ酸の配列順序をさす。タンパク質の1次構造は遺伝情報(DNAのヌク
レオチド配列)によって規定される。
タンパク質の配
列は,1文字表記でデータベースに登録されている。
例)KVFGRCELAA AMKRHGLDNY RGYSLGNWVC AAKFESNFNT QATNRNTDGS ・・・
- ■ タンパク質の2次構造
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主鎖間の水素結合により,タンパク質は部分的に折りたたまれた立体構造をとる。a-helix,b-
sheet,b-turnなどが代表的なものである。このようなペプチド主鎖の規則正しい折れ曲がり構造を2
次構造という。
2次構造は,タンパク質の立体構造の基盤となる構造的部品である。
- ■ タンパク質の3次構造
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タンパク質全体の三次元的な立体構造を3次構造という。3次構造
には,主鎖や側鎖間の種々の相互作用が関与する。ペプチド鎖の折
りたたみは、「油は中、水は外」の原理に従う。
- ■ タンパク質の4次構造
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タンパク質分子が複数集合して複合体を形成している場合がある。それぞれのタンパク質成分を
サブユニット(subunit)と呼ぶ。例えば、ヒトのアルコール脱水素酵素は二量体,ヘモグロビンはるヘモグロビンは4つのサブユニットからなり、その構成はa2b2
の四量体である(a鎖とb鎖の四量体),グルタミン酸-アンモニアリガーゼは八量体である。
ミオグロビンは分子内に,酸素(O2)と強く結合
する色素ヘム(heme)を有するタンパク質で,単一
の分子として機能するので,4次構造を持たな
い。
一方,血液中で酸素分子を運搬するヘモグロビンは4つのサブユニットからなり、
1つのサブユニットに酸素が結合するとその立体構造がわずかに変化し,さらに,
他の3つのサブユニットの立体構造を変化させて酸素結合性を急激に高める。そのため,残りのサブユニットにも酸素が次々に結合する。
⇒
タンパク質の機能と変性
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