Subject   : 甲状腺刺激ホルモン (TSH)

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 甲状腺刺激ホルモン (thyroid stimulating hormone)
甲状腺刺激ホルモン(TSH)は、下垂体前葉の甲状腺刺激ホルモン分泌細胞(thyrotroph)から分泌されるホルモンであり、甲状腺に働きかけ甲状腺ホルモンの分泌を促す。

甲状腺刺激ホルモンはLH,FSHなどと同じくαとβの二つのサブユニットからなる糖タンパク質である。αサブユニットはこれらの糖タンパクホルモンに共通で、ヒトの場合92個のアミノ酸からなり遺伝子は6番染色体に位置する。TSHに独特なβサブユニットはヒトの場合112個のアミノ酸からなり、遺伝子は1番染色体に位置する。全体の分子量は28〜30kDaである。

甲状腺刺激ホルモンは、視床下部から分泌される甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)により分泌が促される。甲状腺刺激ホルモンは甲状腺ホルモンのネガティブフィードバックにより分泌が抑制される。甲状腺ホルモンはまた、視床下部にも働きかけ甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンの分泌も抑制する。

甲状腺ホルモンは、サケ科などの魚類では海への降下時、海水適応を起こさせたり、両生類では、幼生から成体への変態を促進させ、鳥類では、季節ごとの換羽を起こしたりするホルモンとしても知られる。

甲状腺刺激ホルモンの受容体はGタンパク質結合型であり、甲状腺の上皮細胞に発現している。ヒトの場合遺伝子は14番染色体に位置する。

■ 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(thyrotropin-releasing hormone) は、視床下部から放出されるペプチドホルモンで、下垂体前葉からの甲状腺刺激ホルモンやプロラクチンの分泌を調節している。

TRHは脳のほか、消化管やランゲルハンス島からも検出される。合成TRHは視床下部や甲状腺の機能を検査する目的で使用されることがある。

 ⇒ ホルモンがつくられる部位と機能

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