Subject : グルコースの完全代謝
カテゴリー : 学術情報 > 生化学
グルコースの完全代謝
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グルコースは解糖で2 ATPを生成するが,好気的条件下では,生じるピルビン酸を更にミトコンドリアのTCA回路を経て呼吸鎖に回すことによって,二酸化炭素と水にまで完全代謝される。この場合,解糖だけよりもっと多くのATPを生産することができる。
- グルコース → 2 ピルビン酸 + 2 ATP + 2 NADH2+ (解糖)
- 2 ピルビン酸 → 2 アセチル-CoA + 2 CO2 + 2 NADH2 (CoA化)
- 2 アセチル-CoA → 4 CO2 + 6 NADH2+ + 2 FADH2 + 2 GTP (TCA回路)
- FADH2 → 2 ATP (呼吸鎖)
このようにして生じたNADH2+はミトコンドリアの内膜を通過できないため,2つの仕組みで膜内に輸送される。
グルコース 1分子から,肝臓,心臓,腎臓ではNADH2+がリンゴ酸-アスパラギン酸シャトルを通過するため 38 ATP (または32 ATP),それ以外の臓器ではグリセロリン酸シャトルを通過するため 36 ATP (または30 ATP)がつくられることになる。( )内の数値はP/O比を2.5, 1.5で計算したもの。
なお,ミトコンドリアを持たない原核細胞の場合,グルコースから得られる2 NADH2+は細胞膜に存在する呼吸鎖酵素によって6 ATPに変換される。
- ■ リンゴ酸-アスパラギン酸シャトル(肝臓,心臓,腎臓など)
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リンゴ酸-アスパラギン酸シャトルは,次のような輸送の仕組みにより,NADH2+をミトコンドリアにを送り込む。(NADH2+そのものは移動せず,結局,電子が移動することになる)。この輸送系を利用した場合, NADH2+から3 ATP (または2.5 ATP)がつくられる。(a-KG:a-ケトグルタル酸)
- ■ グリセロリン酸シャトル(筋肉など)
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もう1つの輸送機構はグリセロリン酸シャトルで,ミトコンドリア内膜に結合した酵素のFAD/FADH2変換を利用して電子を送り込む。このシャトル系を利用した場合,FADH2がNADH2+の代わりとなるため,NADH2+=2 ATP (または1.5 ATP)となる。
⇒
解糖(glycolysis)
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