Subject   : NAD+

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 NAD+(nicotinamide adenine dinucleotide)
NAD+は、ニコチン酸の誘導体で、全ての真核生物あるいは多くの原核生物で用いられる電子伝達体です。

 NADは、nicotinamide adenine dinucleotide(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)のこと。  NAD+は、ニコチンアミドに、リボース、ピロリン酸、リボース、アデニンが結合した、ピリジンヌクレオチド。  ニコチンアミドは、ビタミンでもある、ニコチン酸(ニコチン酸)のアミド。

 糖質や脂質などの代謝燃料が、CO2に酸化される時、電子は、電子伝達体(電子キャリアー)分子に移される。  NAD+は、生体にもっとも広く分布する、電子伝達体(電子キャリアー)で、ミトコンドリアでの電子伝達に使用される。

さまざまな脱水素酵素の補酵素として機能し、酸化型 (NAD+) および還元型 (NADH) の2つの状態を取り得る。二電子還元を受けるが、中間型は生じない。略号であるNAD+(あるいはNADでも同じ)のほうが論文や口頭でも良く使用されており、この場合は『なっど』と呼称する。還元型のNADHは『などえいち』となる。
 NAD+が、2ケの水素原子で還元される際に、1ケの水素原子は、電子(e-)のみをNAD+に渡して、H+(プロトン)として、遊離する。
 NAD++2H++2e-→NADH+H+
 NADH+H+は、NADH2+と記される
 (従って、NADHは、2ケの還元電子を有している。)


■ 電子伝達系
 電子伝達系では、NADH2+やFADH2+の水素が酸化される。  NADH2+は、解糖で生成されミトコンドリア内に還元当量が輸送されたり、TCA回路でアセチル-CoA(解糖や、脂肪酸のβ-酸化や、アミノ酸代謝で生成される)が代謝され生成されたり、脂肪酸のβ-酸化により生成される。  FADH2は、脂肪酸のβ-酸化により、生成される。

 電子伝達系では、酸化還元反応により、電子は、酸化還元電位の低い物質(NADH2+:−0.315V)から、高い物質(O2:+0.815V)に、伝達される。  電子伝達系では、NADH2+として捉えられた、糖質や脂肪酸由来の還元当量(reducing equivalents)を、酸素に伝達し、水が生成される(NADH2+やFADH2+水素が酸化される)。  電子伝達系では、TCA回路(クエン酸回路)や解糖で産生されたNADH2+(注2)や、コハク酸が、酸化され、電子(e-)が放出される。  放出される電子(e-)が、内膜に存在する複合体間を、伝達される。

 電子伝達に伴い、水素イオン(H+:プロトン)が、膜電位に逆らって、膜間スペースに輸送される。その結果、ミトコンドリア内(マトリックス)は、電位は-180mV、pHは、8となる。
 伝達された電子が、酸素分子を還元させ、さらに水素イオンと結合させて、水が生成される

 ⇒ 解糖(glycolysis)

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