Subject   : 発酵

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 発酵
発酵は基質レベルのリン酸化によるATP生成を行なうが、電子伝達系を通らずエネルギー効率としてはきわめて低い。しかしながら機構の単純さや酸素が要らないなどの理由から多くの微生物にてよく見られる。なお無酸素運動における筋肉でも解糖系が乳酸発酵へと転じている(筋肉痛)。
電子供与体および電子受容体はともに有機物であり、電子供与体となる還元物質には通常、糖が使用される。しかしながら微生物はある種の有機酸(酢酸、乳酸など)、アミノ酸、ヌクレオチドなどを基質に発酵する能力を有する。
基質レベルのリン酸化によるATP生成の式は以下の通りである。
グルコース + ADP + Pi + NAD+ → ピルビン酸 + ATP + NADH
しかしながら、生じた還元型ピリジンヌクレオチド(NADH)は生物にとっては有害なピルビン酸の異化反応に使用される(以下乳酸発酵の例)。

ピルビン酸 + NADH → 乳酸 + NAD+
微生物の行なう発酵の電子受容体(産物)としては、乳酸、エタノールをはじめブタノール、酪酸、イソプロパノール、酢酸、プロピオン酸、ギ酸、アセトンなどがある。

■ 酵母
酵母は、チマーゼと総称される12の酵素の混合物をふくむ。これら酵素の多くは、ヘキソキナーゼなどをはじめ人間のグルコース代謝に関与する酵素と同じである。グルコースを分解した生成物であるピルビン酸は、動物では乳酸になるが、酵母では、エチルアルコールと二酸化炭素になる。

 ⇒ β酸化(ベータ酸化)

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