Subject   : エネルギー代謝と二次代謝

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 エネルギー代謝
エネルギー代謝とは物質代謝に対して生命現象をエネルギーという観点から見た、より熱力学的要素の強い代謝の視点である。生体のエネルギー通貨であるアデノシン三リン酸の高エネルギーリン酸結合による化学エネルギーが中心となり、物質代謝に必要な還元力のほか熱、電気、光などに変換される。

また、このアデノシン三リン酸の化学エネルギーをさかのぼると異化によって生じることから独立栄養生物による有機物生産が大元であり、それらの生産は太陽光の還元力(特殊な環境においては地球科学的起源の水素、硫化水素と置き換えても良い)が出発点であることがわかる。太陽光の(あるいは地球に残存した)還元力は生体的な代謝のエネルギーのみならず、石油や天然ガスといった人間活動に使用しているエネルギーをも供給している。
 二次代謝
糖、アミノ酸、脂肪酸に関連した異化同化の両反応およびそれらに関するエネルギー代謝を中央代謝あるいは一次代謝という。対して、それらの中央代謝系から外れた生命維持における役割の不明な物質を生産する特定の生物に限定的な代謝のことを二次代謝(にじたいしゃ)という。
二次代謝産物としては、以下のような物質があげられる。

二次代謝産物 メモ
アルカロイド 植物が主として生産する窒素を含有する塩基性物質の総称。少量で顕著な生理活性を示し、種類も非常に多い。
テルペノイド メバロン酸経路から生産されるイソプレンの重合した物質。有名なテルペンとしてはコレステロールなどがある。
フェノール類 植物の木質成分の大半を占めるリグニンなどはフェノール類の重合体である。
配糖体 主として植物の生産する糖の水酸基が何らかの化合物で置換された物質の総称。アントシアニンなどの色素のほか強心配糖体といった薬理作用を示すものも存在する。
抗生物質 アオカビなど真菌や放線菌の生産する原核生物特異的に作用する生理活性物質。
特殊アミノ酸 植物が主として生産する、タンパク質に含まれない特殊なアミノ酸。植物自体への生理活性は現在のところ不明であるが、植物の生育とともに生産量や種類などが変化する。別名非タンパク質性アミノ酸。

これらにあげたのは一部であり、生物界には未分類の微量生体成分が非常に多数存在すると言われている。二次代謝産物の多くは顕著な生理活性を示すものが多く、毒物や薬物として分類されるものも多い。

 ⇒ エンドサイトーシス (Endocytosis)

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