Subject   : ピリドキサールリン酸(PLP:Pyridoxal phosphate)

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 ピリドキサールリン酸(PLP:Pyridoxal phosphate)
 ピリドキサールリン酸または ピリドキサール-5'-リン酸(pyridoxal-5'-phosphate、P5P)は、いくつかの 酵素の補欠分子族の一つ。 ビタミンB6の活性型です。

PLPはアミノ酸のすべてのアミノ基転移、いくつかの脱炭酸および脱アミノを行う補酵素である。PLPのアルデヒド基はアミノトランスフェラーゼの特定のリシンのε-アミノ基と結合してシッフ塩基を形成する。基質アミノ酸のα-アミノ基と反応すると、リシン残基の活性部位のε-アミノ基と移し替えられる。これによって生じるアルドイミンはキノイド中間体となるために脱プロトン化され、キノイド中間体はケトイミンになるために別の位置でプロトンを受容する。生じたケトイミンはアミノ基が複合体に残るように加水分解される。

PLPはペロサミン、デソサミンのような珍しい糖を合成するアミノトランスフェラーゼ(またはトランスアミナーゼ)によっても使われる[2]。この反応ではPLPはグルタミン酸と反応し、ピリドキサミンリン酸(PMP)を作るためにPLPへそのα-アミノ酸が転移する。PMPはその窒素を糖へ転移させ、アミノ糖を形成していく。
また、PLPはセリンデヒドラターゼ(EC:4.3.1.17)やGDP-4-ケト-6-デオキシマンノース-3-デヒドラターゼ(ColD)などのβ脱離反応[2]、さらにヘム生合成の縮合反応にも関係する。
PLPはリシン代謝のトランスアミナーゼ反応には関係しない。
PLPはレボドパをドーパミンへ変換する役割を持つ。
PLPは興奮性神経伝達物質のグルタミン酸を、抑止性神経伝達物質のGABAへ転換する。
PLPはポリアミンの前駆体であるプロピルアミンを形成するためS-アデノシルメチオニンを脱炭酸する。
PLPは脱炭酸を通してヒスチジンをヒスタミンに転換する。 ピリドキサールキナーゼ(EC 2.7.1.35) によってピリドキサールから合成され、ATP一分子を要する。

  (出典)フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
 ⇒ 補酵素(Coenzymes)
 ⇒ 補欠分子族

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