Subject   : ペニシリウム(Penicillium)、青かび

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 ペニシリウム(属) (Penicillium)
 ペニシリウム属は、 真菌の中の不完全菌類に含まれる1属で、湿気のある場所で食品(果物、野菜、餅、パンなど)によく生える、いわゆる青かびもその1種である。形態的には隔壁のある無色の分岐した長い菌糸をもち、分生芽胞柄は分岐するものと分岐しないものがある。その先端に箒状(ペニシラス)の形があり、その先に更子、さらに分生芽胞(分生子)がつくられる。分生芽胞の色は菌種によって違い、青緑色、緑色、黄色、黄褐色、褐色などである。分生芽胞が青緑色のペニシリウムが青かびである。抗生物質のペニシリンを産生するペニシリウム・ノタトウム(P.natatum)やカマンベール・チーズの熟成に利用されているペニシリウム・カマンベルチ(P.camamberti)などがよく知られている。

ペニシリウム属には青かび以外に黄変米の原因かびとしてペニシリウム・イスランジカム(P.islandicum)などもある。このかびは肝臓障害をおこすイスランジトキシン(islanditoxin)などの真菌毒素(かび毒)を産生する。

■ 青かび [Blue mold (mould)]
 青かびは一般的な呼び名で、分類上では真菌の中の不完全菌類に含まれるペニシリウム属のペニシリウム・ノタトウム(Penicillium notatum)などの数菌種を指す。一般には湿気の多い土壌、空気中、室内など空気と有機物が多いところに生息し、しばしば、餅、パン、麺類、みかんなどに生える最も身近な青色のかびである。ペニシリウム属のかびは黒かびや麹かびなどのアスペルギルス属に類似しているが、青かびから最初の抗生物質であるペニシリンが発見されたことでもよく知られている。 一方、青かびは果実や野菜の青かび病菌として知られている。リンゴやナシではペニシリウム・エクスパンサム(P.expansum)、ミカンではペニシリウム・イタリカム(P.italicum)、サツマイモ、ヤマイモ、タマネギ、ニンニクではペニシリウム・グラジオリ(P.gladioli)などが病原菌である。
 ⇒ 真菌
 ⇒ カビ毒(mycotoxin)

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