Subject   : アディポネクチン

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 アディポネクチン
 アディポネクチンは内臓脂肪細胞で作られる超善玉物質で、大阪大学分子制御内科学教室の松澤教授のグループによって発見された物質です。内臓脂肪と相関し、内臓脂肪が増えれば血液中のアディポネクチンは減少します。 アディポとは“脂肪”という意味です。
心筋梗塞などの冠動脈疾患の患者でアディポネクチンが低い群ほど死亡率が高くなります。また糖尿病患者でもこの数値が低く、インスリン感受性が低いことも報告されており、動脈硬化も高率に発現するようです。 標準的な体格の人の血液中には多く存在し、内臓脂肪が増加すると、反対にアディポネクチンは減少することが明らかになりました。 このため、アディポネクチンは、世界中の研究者が健康維持に最も重要な役割をするものであると着目し研究されています。まさに今、話題の生活習慣病やメタボリックシンドローム(メタボリック症候群)の中心的存在として注目される超善玉物質なのです。

どんな人でも、普段からタバコや血圧、血糖値の上昇、血中脂質、悪玉のアディポサイトカインなどによって血管が少しずつ傷つけられています。血液中を流れて全身を巡っているアディポネクチンは、血管が傷ついているところを見つけると、すばやく入り込んで修復します。さながら、体内の至るところで起きる「ぼや」を「大火」にしないよう、消して回っている消防隊にたとえることができるでしょう。

アディポネクチンは、脂肪細胞から分泌される分泌蛋白である。血中濃度は一般的なホルモンに比べて桁違いに多く、ug/mlオーダーに達する。作用としては、肝臓のAMPKを活性化させることによるインスリン感受性の亢進、動脈硬化抑制、抗炎症、心筋肥大抑制など、多彩である。受容体にはAdipoR1、AdipoR2、T-Cadherinなどが報告されているが、同定後間がなく、これらがアディポネクチンの生理機能を説明するかに対してはまだ結論が出ていない。
血中アディポネクチン濃度は内臓脂肪量に逆相関する。そのメカニズムは不明な点が多いが、一部は肥満脂肪組織で増加するTNFαなどによるものと考えられている。
 ⇒ 脂肪組織

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