Subject   : PPK(母集団薬物動態)

カテゴリー  : 学術情報 > 薬学


 PPK(population pharmacokinetics)
  被験者あるいは患者集団の薬物動態を平均値と分散のような分布の特性値として、解析する方法で、PPK解析あるいはPopPK解析と略される。

母集団パラメータには、集団の平均値と固定効果および変動効果がある。固定効果は、年齢、性別、体重、腎機能のような種々の要因が薬物動態の変動要因となる場合に、クリアランスや分布容積などのPKパラメータに及ぼすそれらの要因の影響の程度をモデル化して表したものである。変動効果は、未知の要因や測定誤差のようなランダムな変動の影響を平均0で、一定の分散をもつ変動として表したもので、一例毎に一定値をもつ個体間変動と同一個体であっても投与毎や観察毎に異なった値をとる個体内変動がある。集団の平均値は、その集団のもっとも代表的な固定効果をもつ被験者のPKパラメータ値として表すことが多い。

薬物動態の母集団値を求めるには、一例毎のPKパラメータを解析した後に、集団の平均値や分散を求める手法(二段階法)もあるが、通常「PPK解析」は、変動効果(個体間変動と個体内変動など)や固定効果を同時に解析する混合効果モデル(Mixed Effect Model)を用いた解析を指すことが多い。ACCP (AMERICAN COLLEGE OF CLINICAL PHARMAQCOLOGY): A WEB-BASED LEARNING RESOURCE: BASICS OF POPULATION PK MODELING AND APPLICATION TO DRUG DEVELOPMENT (OFFERED AT DEPARTMENT OF PHARMACEUTICS. VIRGINIA COMMONWEALTH UNIVERSITY, RICHMOND, VA)には、PPKに関する教育資料が公開されている。

 PPK解析のもっとも特徴的な点は、個々の症例からの濃度測定回数は少なく、多数の症例からのデータを用いて解析する点にある。そのため、頻回採血により個々の症例のPK評価を行う解析と比較し、被験者への負荷が軽減され、臨床の場で実施に向いている。このような特徴から、臨床の場でPKと同時にPDを評価する母集団PK-PD解析に適しており、最近では臨床試験に応用されるようになってきた。

 PPK解析あるいはPPK-PD解析には、NONMEMが広く用いられ、現在でも標準の解析法であるが、PhoenixR NLMETMや統計解析に広く用いられるSASなど、母集団解析法の普及とともに種々の解析プログラムも用いられるようになってきた。

 ■ 母集団パラメータ 
 母集団薬物動態解析により得られるパラメータで、平均値と固定効果および変動効果からなる。固定効果とは、クリアランスなどのパラメータに及ぼす年齢、体重、腎機能のように影響を説明できる個別的な因子のこと、変動効果とは、固定効果で説明できない未知の要因(個体間変動)や測定誤差のようなランダムな変動(個体内変動)のこと。ベイジアン法を用いたTDMソフトに組み込まれている。
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