Subject   : グランザイムB(GrB)

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 グランザイムB(GrB)
 グランザイムB(granzyme B、GrB)は、NK細胞と細胞傷害性T細胞の顆粒に最も一般的に存在するセリンプロテアーゼである。グランザイムBはこれらの細胞からポア形成タンパク質パーフォリンとともに分泌され、標的細胞のアポトーシスを媒介する。

また、グランザイムBは好塩基球やマスト細胞から平滑筋細胞まで広範囲の非細胞傷害性細胞によっても産生されることが判明している。グランザイムBの副次的機能は多岐にわたる。グランザイムBはサイトカインの放出を刺激することで炎症の誘導に関与しており、また細胞外マトリックスのリモデリングにも関与している。

グランザイムBはパーフォリンとともに放出され、パーフォリンは標的細胞の細胞膜にポアを形成する。パーフォリンのポアの半径は5.5 nmであるのに対し、グランザイムBのストークス半径は2.5 nmであるため、パーフォリンのポアを通って標的を破壊することができる。

また、放出されたグランザイムBは、標的細胞表面の負に帯電したヘパラン硫酸を含む受容体に結合し、エンドサイトーシスされる。その後、グランザイムBを含んだ小胞は破裂し、グランザイムBは細胞質とそこに位置する基質に対して露出する。また、Hsp70もグランザイムBの移行の補助に関係している。

グランザイムBは、自身に結合しているセルグリシンを標的細胞膜の負に帯電したリン脂質と交換することで標的に移行することも提唱されている。移行はabsorptive pinocytosisと呼ばれる飲作用過程で行われる。

グランザイムBレベルの上昇は、多数の自己免疫疾患、いくつかの皮膚疾患、そして1型糖尿病への関与が示唆されている。

<出典:JBスクエア>

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 ⇒ T細胞

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