Subject   : ビトロネクチン(vitronectin)

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 ビトロネクチン(vitronectin)
 ビトロネクチン(vitronectin)は、血液や細胞外マトリックスに存在する糖タンパク質で、細胞接着・細胞進展を促す細胞接着分子である。組織形成維持、血液凝固線溶系、免疫補体系、組織修復、癌転移、神経細胞の分化や突起伸長で重要なはたらきをする。

ビトロネクチンは、3つのドメインからなる。

N末端側のソマトメジンBドメイン(アミノ酸残基番号1-39)。このドメインに線溶系の調節タンパク質であるPAI−1(Plasminogen activator inhibitor-1)に結合する。 ドメインを形成していないが、 N末端側から45 - 47番目のアミノ酸が有名な細胞接着のRGD配列(Arg-Gly-Asp、アミノ酸1文字表記でRGD)である。この部位が細胞表面のインテグリンαvβ3に結合し細胞接着を起こす。ただし、フィブロネクチンも同じRGD配列をもち、細胞表面のインテグリンに結合し細胞接着を起こすが、インテグリンの種類が異なる。 分子の中央(アミノ酸残基番号131-342)ドメイン。ヘモペキシン類似の繰り返し構造がある。コラーゲンやトロンビン‐セルピン(serpin、例:抗トロンビンIII)複合体の結合活性がある。なお、ヘモペキシンはヘム〈鉄化合物〉を結合しヘムの代謝を担う血液タンパク質である。
C末端側ドメイン(アミノ酸残基番号347-459)。この部分にヘパリン結合部位(アミノ酸残基番号348 - 379)がある。この部位は、RGD配列と同じくらい重要である。アミノ酸残基32個中14個が塩基性アミノ酸で、塩基性度が高く、プラスに帯電している。この部位がヘパリン(マイナスに帯電)と結合する。ヘパリン以外にも、インテグリン、オステオネクチン(osteonectin)、テネイシンなどと結合し、反応性の高い部位である。

<出典:Wikipedia>

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 ⇒ 細胞どうしの結合

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