Subject   : 細胞どうしの結合

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 細胞どうしの結合
単細胞生物を除いて、細胞は孤立して存在することはない。お隣同士仲よく接して組織を作り上げている。たとえば上皮細胞なら、ふつうは上皮組織の中で周囲と協調しつつ、上皮組織の一員としての働きをしている。
 このような場合、細胞どうしは特定の構造で結合しあっている。その構造には大きく分け て4つある。
  (1) 密着結合(tight junction)
  (2) 接着結合(adherence junction)
  (3) デスモゾーム結合(desmosome junction)とヘミデスモゾーム
  (4) ギャップ結合(gap junction)

である。

 ● 密着結合(タイトジャンクション)
 タイトジャンクションは、その名前が示すとおりがっちりした結合である。タイトジャンクションタンパク質はジッパーのように隣り合った細胞の細胞膜を連続的につなぎあわせる。
 そのために、細胞間隙(intercellular space)と細胞の自由表面は不連続になる。このタイトジャンクションのために、上皮細胞のシートは外側と内側(腸上皮組織の場合でいえば管腔側と組織内)を分けるバリヤーになり、溶質は自由に組織の内側に入ることことができない。
 また、タイトジャンクションは膜タンパク質の自由な拡散を妨げるので、タイトジャンクションで分けられた二つのコンパートメント(細胞膜の区画)の膜タンパク質は混じり合うことができなくなる。
 このため、両者の膜タンパク質の性質が異なれば、溶質の細胞通過に方向性が生まれることになる。

 ● 接着結合(アドヘレンス・ジャンクション)
 接着結合は、タイトジャンクションの下に帯のように細胞周囲にあって、接着帯を構成している。次に述べる デスモゾームと似ているがボタン状タンパク質がなく、カドヘリンという膜タンパク質どうしが接着して、細胞をつなぎ止めている。
 カドヘリンの細胞内の端は、細胞骨格の一つである アクチンフィラメントの束と結合している。


 ● デスモゾーム結合
 デスモゾームは、ワイシャツかブラウスのちからボタンのような円盤状のタンパク質と、細胞の外側に向かって細胞膜を貫通する結合タンパク質から構成されている。この結合タンパク質もカドヘリンである。
 ボタン状タンパク質は細胞膜のすぐ内側にあって、ここから突き出す結合タンパク質が、隣の細胞のデスモゾームの結合タンパク質と結合している。ちょうど2枚の布を2個のボタンを介して糸で綴じ合わせたような構造をしている。ボタン状タンパク質には中間径フィラメントのケラチンフィラメントが結合している。
 上皮細胞の底にも同じ構造があるが、結合タンパク質は隣の細胞のデスモゾームではなく、基底層(basal lamina)と直接、結合している。この構造をヘミデスモゾーム(hemi=半分)と呼ぶ。
イモリの表皮に見られる

 ● ギャップ結合
 ギャップジャンクションは、管状の膜貫通タンパク質が隣の細胞のものと結びついた構造をしている。このため、2つの細胞の細胞質は連続することになる。
 ギャップジャンクションの穴(1.5 nm)は、分子量1000以下の分子を通すことができる。穴はサイトゾールのカルシウムイオンの濃度によって開閉する(低いと開き、高いと閉じる)。ギャップジャンクションによって、細胞どうしが電気的につながったり、カルシウムイオンのような小さい分子を通過させることにより細胞間の同調が行われていると考えられている。
 小腸上皮組織は、これまで述べたような結合と膜タンパク質の性質によって、一枚の上皮細胞のシートを形成し、個々の細胞ではなくシートとして機能している。
 ⇒ 細胞接着分子の種類

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