Subject   : パルスレーザー

カテゴリー  : 光学 


 パルスレーザー
 パルス発振動作は、CW発振動作を基に次の3つのいずれかの方法を用いて達成される。直接変調法とQスイッチ法、モード同期(モードロック)法について簡単に説明する。

 ○ 直接変調法
パルス波形を得る方法としてはCWレーザーのビーム出力を機械的シャッターでOn/Offする方法と、発振器の励起源をパルス制御する方法があるが、高出力の発振器はほとんどが後者である。直接変調法はパルスの波形を制御することができ、パルス幅はps〜msと任意に変えることができる。応用としては、CWレーザーよりも熱影響を極力抑えたい穴あけ加工や光通信に使用される。

 ○  Qスイッチ法
 Qスイッチパルス発振ではレーザー媒質中で十分に反転分布が起こるまで待ち、一気にレーザーを発振させることで、非常に大きなエネルギーのレーザー光を等間隔で出すことができる。パルス幅はμs〜ns程度である。応用としては電子部品、半導体部品などの精密部品へのマイクロ加工、穴加工、溝加工、マーキングなどに使用される。

 ○  モード同期(モードロック)法
 与える変調の周期をレーザー共振器内の光周回時間に合わせると(共振器の縦モードを同期して発振させると)モード同期となる。パルス幅はfs〜psであり、3種類のパルス発振のうちで最も短いパルス幅が得られる。通常、パルスエネルギーはQスイッチ法ほど大きくはならない。繰り返し周波数は共振器長で決まり、共振器長が短いと繰り返し周波数は高くなる。
レーザのほとんどは多モード発振で幾つかの波長のレーザ光が混ざり合っていますが、とびとびのそのレーザ波長は、理想的な状態では、スペクトルがある一定間隔にピークを持つようになるはずです。しかし、実際には、等間隔にならずにずれています。従って、位相がそろわずに、干渉し合って、そのピークが不規則に強くなったり弱くなったりしてしまいます。もし、光が共振器の間を一往復する時間に合わせて、種になるレーザ光を強くしたり弱くしてやれば、波長の間隔が一定になり、強くなった時に増幅された光のみが干渉しあいながら発振され、(最初だけ)位相をそろえて鋭いパルスピークとなって出てきます。この時間パルス幅はこの波長の広がりの幅が広ければ広いほど、干渉し合うため速い速度で減衰するので、時間パルス幅は小さくなります。こうやって、ピコ秒パルスが作られます。波長幅が広がっているほど有利なので、線幅は太くなります。この、強くなったり弱くなったりする周期を共振器に合わせてやることをモード同期と言います。
応用としては非加熱加工、非線形光学分野、テラヘルツ光やスーパーコンティニューム光源の種光としても使用される。
 ⇒ レーザーの種類
 ⇒ Qスイッチレーザー

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