Subject   : MEMS可変共振器レーザ

カテゴリー  : 光学 


 MEMS可変共振器レーザ
 波長可変半導体レーザは,広帯域で連続的なチューニング範囲,狭いスペクトルと波長の安定性が必要な波長分割多重伝送(WDM)光通信に応用することが期待されている.従来の固体光電子デバイスの波長可変範囲は狭く,典型的にはたった1%の狭い範囲に限定されてきていた.というのは,それらの多くは搬送波注入や熱効果を通した屈折率の調整に基づいているからである.一方,可動マイクロ構造によって空洞の長さを物理的に調節すると,そのような制限は起らない.特に,弾性的に支持された外部ミラーで空洞の間隔を静電的に変化すると,共振波長の波長可変範囲を40nmにまで拡大できる。

 マイクロマシン外部ミラーを使って半導体レーザダイオードの波長を変化するには二つの方法がある.@エッジ放出レーザダイオードと横運動するミラーを使う方法(24)とA垂直共振面発光レーザ(VCSEL)と上下運動をするミラーを使う方法である.両方とも静電力によって変位制御するMEMSファブリペロー干渉計で構成した外部共振器を使っている.

 高密度光通信,並列光情報処理やチップ間光インタコネクションへの適用可能性のために,垂直共振器面発光レーザが注目を浴びている。集積化したレーザの二次元アレーは,表面マイクロマシニング加工ばかりでなく,平面ICプロセス技術とも適合性良く製作できる.共振空洞の波長は層の厚みによって決まるが,これは分子ビームエピタキシー(MBE)のようなエピタキシャル層成長技術によって正確に制御可能である.

 LarsonとHarrisやLarsonらは,GaAs-AlAs垂直共振器レーザを可動膜のミラーと結合することによって,MEMS波長可変レーザを開発した.本デバイスは0から18Vの印加バイアス電圧に対して950nmの中心波長付近で40nmのチューニング範囲を示した.これは垂直膜の400nmの運動に相当する.モード抑圧比は20dB以上であった.そのピーク半値幅(FWHM)はおよそ1.9nmであった.これは空洞長さが短いために,エッジ放出レーザの線幅ほどはシャープでなかった.

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 ⇒ 波長可変レーザー

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