Subject   : ダブルクラッドファイバー(DCF)

カテゴリー  : 光学 


 ダブルクラッドファイバー(Double Clad Fiber)
 1980年代までのファイバーレーザーは、ファイバーのコアに直接励起レーザーを入射することで励起が行われていた (コア直接励起ファイバーレーザー)。光ファイバーの主成分であるシリカガラスの破壊閾値は(~2GW/cm2 @CW)と極めて高いが、それでもシングルモードファイバー (SMF) におけるコア直接励起では、コア径が非常に小さいために、高強度の励起光を導入するのは技術的にも材質的にも困難であった (特に空間出力型のLDを使った場合)。また、マルチモードファイバー (MMF) でのコア直接励起ではビーム品質が大きく低下してしまうことから、高出力かつ高ビーム品質が求められる加工用途には対応できなかった。

しかし、1988年に高出力と高ビーム品質を兼ね備えたファイバーレーザーを実現する方法が提案された。それがダブルクラッドファイバー (Double Clad Fiber:DCF) を用いたクラッド励起ファイバーレーザー (ダブルクラッドファイバーレーザー) である。このダブルクラッドファイバーレーザーは急速に普及し、現在の高出力ファイバーレーザーの主流な励起方法となっている。なお、ダブルクラッドファイバーは次節で述べる大モード面積ファイバーにも適合する。

 ○ 大モード面積(Large Mode Area : LMA)ファイバー
光ファイバー中を伝搬するレーザー光の高出力化に伴い、光ファイバー内での誘導ラマン散乱(SRS)や誘導ブリルアン散乱(SBS)といった非線形光学効果が起こりやすくなる。これが高出力ファイバーレーザーの特性を制限する。この非線形光学現象を避けるためにはコア径の大きな光ファイバーか短尺の光ファイバーが必要である。しかしファイバー長を短くすると、相互作用長が短くなり、ファイバーレーザーの効率が低下してしまう。よって、高効率を維持しながら非線形光学現象を抑えるためにはモードエリア(モードフィールド)が大きな光ファイバーが必要となる。そこで開発されたのが、低NA・大口径化された大モード面積(Large Mode Area : LMA)ファイバーである。

 ⇒ 波長可変レーザー

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