Subject   : リシン(Ricin)

カテゴリー  : 話題のことば > 健康維持


 リシン(Ricin)
リシン(Ricin)は、トウゴマ(ヒマ)の種子から抽出されるタンパク質である。

猛毒であり、人体における推定の最低致死量は体重1kgあたり0.03mg。毒作用は服用の10時間後程度。リシン分子はAサブユニットとBサブユニットからなり、Bサブユニットが細胞表面のレセプターに結合してAサブユニットを細胞内に送り込む。Aサブユニットは細胞内のタンパク質合成装置リボゾームの中で重要な機能を果たす28S rRNAの中枢配列を切断する酵素として機能し、タンパク質合成を停止させることで個体の生命維持を困難にする。この作用は腸管出血性大腸菌O157の作るベロ毒素と同じである。
経口投与より非経口投与の方が毒性は強いが、その場合の致死量はデータなし。戦時中はエアロゾル化したリシンが、化学兵器として使用された事もある。

ヒマの種子に毒性があることは古くから知られていたが、1888年にエストニアのスティルマークが、その種子から有毒なタンパク質を分離し、リシンと名付けた。

 ⇒ タンパク質の機能と変性

[メニューへ戻る]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]