『美女と野獣』ボーモン版のあらすじ
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ボーモン夫人による短縮版(1756年。フランス)
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昔、大金持ちの商人がいて、息子と娘が 3人ずつありました。
ところが、とつぜん破産して、町から 小さな離れた家で農業をしながら
暮らさなければならなくなりました。
3人の息子と3番目の娘はよく働きましたが、
貴婦人気取りの2人の姉は怠けています。
末娘はいちばん美しいので「ベル」と呼ばれる、心やさしい子でした。
1年ほどたって、商人が港町ヘ出かけることになると、ドレスやら毛皮の
えりまきやらのおみやげをねだりますが、ベルはお金が足りなくなる
だろうと思い、何も言いません。
父親が気を回して尋ねると
「それなら、バラを一本。ここでバラは育たないから」
町ではお金が入らず、無一文で家へ 帰るほかありませんでしたが、
森の中で道に迷い、やがて大きな宮殿が目に入ります。
入ると人っ子ひとりいませんが、
ご馳走が置いてあったので、飲み食いして寝てしまいます。
翌朝、庭へ出ると
バラのゆりかごがあったので、ベルの願いを思いだして、
バラをひとえだ 折ってとりました。
そのとたん、ものすごい音とともに
「おそろしい顔つきをした野獣」が現れて「恩知らずめ」とののしります。
「命を助けてやったのに、わたしが 何より大切にしているバラを盗んだ
からには、償いに死んでもらう」
「娘がほしがっていたのです」と商人が弁解すると、野獣は
「娘のひとりがおまえの代わりに ここへ来て死ぬというなら許す。
ひとりも来ないならおまえが 3か月後に戻って来い」
と言うので承諾すると、みやげに何でも持って行っていいと野獣が
言うので、箱一杯の金貨を馬に積んで帰りました。
家に帰った商人が子どもたちに事情を話して、ベルにバラをわたすと、
ベルは自分が行くという 固い決意を語って譲りませんでした。
宮殿にベルを連れて行った商人は 一泊し、泣きながら別れを告げます。
ベルがお城を見に行くと、門には「ベルの屋敷」と書かれ、
内部は書棚や楽器がきちんと整備され、手に取った本には金文字で
「望むべし、命ずべし、なんじは ここの女王にして、女あるじなり」v
でも自分の望みは父が今どうしているか知りたいだけなのに…と
つぶやいて大きな鏡を見ると、父が 家に帰り着いて姉たちに迎えられる
ところが見えました。
昼食の途中、野獣が現れて、「ここの主人はおまえだけだ」と
やさしく話しかけます。
「言ってごらん、おまえは わたしがずいぶん醜いと 思っているだろうね?」
「ほんとうですわ」とベルが言いました。
「だってあたくしには嘘がつけないんですもの。
でも、あなたってとっても いい方だと思うわ」
その通りだが、 自分は醜いだけでなく「知恵もない」
「ただのバカにすぎない」ことが「自分でもよくわかるんだ」と
野獣が言うと…
「バカだなんてとんでもない」
とベルが続けました。
「だってご自分で知恵がないと
お考えになっている くらいですもの。
愚かなひとって、自分じゃ そんなことぜったい わからないものですわ」
ベルは野獣の「お心づかい」が嬉しく、 それを思うと「あなたが醜いようには
見えません」とも言い、野獣は「感謝の気持」を言い表します。
夕食時、野獣が言います。
「わたしの妻になってくれないかね」
恐怖で死にそうになったベルは
「いやです、野獣さん」と拒絶。
野獣が溜息をつくと、ものすごく
大きな音になって響きました。
「アア、かわいそうに!」 「あんなにいい方なのに…」
ともベルは思います。
その後、毎晩訪ねてくる野獣にベルは善良さを見つけ、恐怖心はなくなりました。
商人は子どもたちが結婚や兵役で みな出て行って一人になって いましたが、
やがて病気で倒れます。
その様子が例の大きな鏡に映ったので、 ベルは野獣に1週間だけ帰省したいと
願い出ます。
承知した野獣は、戻りたくなったらテーブルの上に指環を置くように 告げ、
例の大きな溜息をつきました。
朝、目覚めると父親の家におり、
再会を喜びますが、やがて姉たちも 帰省して来て、前よりずっと美しく
なったベルをおとしいれようと 考えます。
ベルをちやほやして約束の1週間を 過ぎるまでここにいさせれば、
野獣は怒ってあの子を食べてしまう だろう、という計略です。
姉たちにやさしくされたのが 嬉しかったベルは「もう1週間」と
約束してしまいます。
でも、十日目の夜に野獣が死にかかっている夢を見て号泣し、
テーブルの上に指環を置きました。
宮殿へ戻ると、夢に見たとおりに 野獣が倒れており、
「死ぬ前にひと目おまえに会えて
嬉しいよ」と言います。
「いいえ、あたくしの 大切な野獣さん、
あなたは死にませんわ」
とベルが申しました。
「サア、元気になるのよ。
いまからあたくしはあなたの妻になります、そして誓いますわ、
生涯、あなた以外に あたくしはの夫はありません」
すると、宮殿にパッと明かりがつき、
野獣は消えて、足もとには美しい 王子が横たわっています。
王子の話では、「意地悪な仙女」が「誰か美しいお嬢さん」が結婚を承諾
するまであの野獣の姿でいるように、彼に「むりやり言い渡した」のでした。
二人がそろってお城へ行くと、両方の家族がみんなと、ベルの夢に出て来た
ことのある「えらい仙女」がいます。
仙女は、ベルの「りっぱな心」をほめたたえてから、姉たちには間違いを
さとる日まで「石像」になって妹のしあわせを眺め続ける、という 罰を言い渡しました。
仙女が杖をひと振りすると、集まって いた人々はみんな王子の国へ運ばれ、
王子とベルはそこで結婚し、すえ永く幸福に暮らしました。
このような世界観を再現したコンセプトカフェ&レストランが横浜にあります。
美女と野獣のカフェ&レストランBeauty&the Beast
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