ホルモンは体内の情報伝達物質で、生体の状態を一定のバランスに保つ
働きをしているものです。
ホルモンとは、動物の体内において、ある決まった器官で合成・分泌され、体液(血液)を通して体内を循環し、別の決まった器官でその効果を発揮する生理活性物質のこと。生体内の特定の器官の働きを調節するための情報伝達を担う物質であり、栄養分などとは違って、ホルモンの体液中の濃度は非常に微量であるのが特徴。例えば、典型的なペプチドホルモンの血液中の濃度は、10-9 mol/L(nmol/L=ナノモル)程度と、きわめて低濃度である。
ホルモンの分泌形式を内分泌 (endocrine) と呼ぶ。これは、ホルモンが、体内 (血液中) に分泌されることから、体外(消化管の内腔を含む)に分泌される外分泌 (exocrine) と対比する呼び方である。ホルモンを分泌する器官を内分泌器官 (endocrine organs) と呼ぶ。
ホルモンが作用を発揮する器官を、ホルモンの標的器官 (target organ) と呼ぶ。ホルモンの標的器官の細胞には、ホルモン分子に特異的に結合する蛋白質であるホルモン受容体(ホルモン・レセプター)が存在する。受容体がホルモンと結合することが、その器官でホルモンの作用が発揮される第一のステップとなる。標的器官が非常に低濃度のホルモンに鋭敏に反応するのは、このホルモン受容体蛋白質が、ホルモン分子とだけ強く結合する性質が基本となっている。
ホルモンによって行われる、ある器官の機能の調節のことを、体液循環を介した調節であることから液性調節と呼ぶ。
ホルモン名 | 部位 | 主な作用 (調整作用) |
分泌過剰疾患 | 分泌不足疾患 レセプター異常 |
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成長ホルモン | 下垂体 | 成長の促進 | 巨人症、末端肥大症 | 小人症 |
甲状腺ホルモン | 甲状腺 | 代謝の促進、 知能・成長の調整 |
甲状腺機能促進症 (バセドウ病) |
甲状腺機能低下症 |
インスリン | 膵臓 | 血糖の低下 | 低血糖症 | 高血糖症(糖尿病) |
副腎皮質ホルモン | 副腎 | 代謝・免疫等の調整、 ストレス反応 |
クッシング症候群 | アジリン病 |
エストロゲン (女性ホルモン) |
卵巣 | 女性化(月経・乳腺)、 卵子の発育・排卵 |
子宮内膜症、膣ガン、 乳ガン、不正出血 |
女性器の発育異常、 月経不順 |
アンドロゲン (男性ホルモン) |
精巣 | 男性化、精巣の発育、 精子合成 |
二次性徴の早期出現 | 男性器の発育異常、 無精子病、 睾丸性女性化症候群 |