Subject : 肺気腫
カテゴリー: 健康・医療情報 > 呼吸器系の病気
肺気腫
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肺気腫とは、呼吸細気管支と肺胞が拡張し、肺胞の壁が破壊される疾患です。
肺胞とは、酸素と二酸化炭素を交換する組織です。拡張、破壊により、息を吸うときには、肺に空気が入っていきますが、吐き出すときにうまく空気が肺から出て行かなくなります。徐々に進行し、肺胞が拡張と破壊を繰り返すと、ブラという袋を形成してしまいます。そうして、正常の肺の血管が細くなったり、肺全体が膨張し、呼吸筋である横隔膜を押し下げたり、心臓を圧迫したりします。自覚としては、体動時の息切れや息苦しさを感じてきます。その後、胸郭が前後に張り出したり,自分のペースで平地を歩いていても,安静にしていても呼吸困難を生じるようになります.
ブラが突然破れて胸腔中に空気がもれると気胸を起し、緊急処置をしなければなりません。肺気腫の壊れた肺胞組織は健康な元の状態に戻ることはできません
肺気腫は、喫煙と最も因果関係の深い慢性閉塞性肺疾患です。
喫煙暦の長い中高年男性に多く発病する。
タバコの煙は気道を覆う粘膜に接すると、長期間に渡りスーパーオキシドを発生します。一方、喫煙者の肺には白血球が常時ある程度浸潤していて、蛋白分解酵素を放出しています。
この酵素の働きをコントロールすべきα1アンチプロテアーゼを活性酸素が失活させてしまいます。過剰な蛋白分解酵素の働きで肺胞構造が失われ、肺気腫の発生に繋がると考えられます。
また、α1ートリプシンという酵素が先天的に欠損している場合に、環境因子が加わって発症することもわかっています。
- 【症状】
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自覚症状としては、息切れ、咳、痰、痩せが、主たる症状です。息切れは、季節変動や、日内変動がそれほど著しくなく、体動時に強くなり、休むと改善します。咳は、肺気腫に感染症を伴ったり、肺性心になったときなど、急性増悪の時に多く認められます。痰は、慢性の気道炎症により過剰になった、気道分泌物によるものですが、やはり、急性増悪の時に多く認められます。
進行すると作業中の呼吸困難が出る。
肺気腫の確定診断は、肺の組織を採取し、顕微鏡で観察し、初めて決定されます。肺線維化の所見を認めず、呼吸細気管支壁または肺胞壁の破壊と拡張が病理形態的に確認されることが必要です。しかし、肺の組織を採取することは、患者さんの苦痛を伴いますので、通常は、胸部レントゲン写真とCT写真、呼吸機能、血液検査などから総合的に判断します。
胸部レントゲン写真;ビール樽様の胸郭変型、血管影の低下、横隔膜の平低化、肋骨間の開大、中心部肺血管の圧迫と心臓の圧迫(滴状心)など
呼吸器機能;一秒量、率、V50、V25の低下、残気量の上昇など
- 【治療法】
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いったん発病してしまったら途中で病気の進行を止めることはできません。ですから、肺気腫に罹患しないことが重要です。原因として最も考えられている,煙草を吸わないことが、最大限の予防と思わます。
気管支拡張薬の内服や、気道のクリーニングのために、痰を出しやすくなる薬を内服します。また、気管支を拡張する目的で、β刺激薬や抗コリン薬等を併用されることもあります。
規則正しい生活をして、体力を落とさないことが大切です。風邪をこじらせると肺炎になりやすいので、早めの治療が必要です。肥満の方は呼吸筋のはたらきをよくするために、ダイエットしたほうが経過が良い様です。やせ過ぎの方は、良質の蛋白質を多めに摂取するように心がけて下さい。息切れのため、運動が億劫になりがちですが、適度の運動は必要です。
進行すると、在宅酸素療法が必要なこともあります。炭酸ガスが貯留し、頭痛や冷汗、思考力の低下などが生じる場合もあります。
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