Subject : 血小板
カテゴリー : 学術情報 > 生化学
血小板
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骨髄の巨核球の細胞質が、ちぎれて、血小板として、血中に、出る。
血小板は、2〜4μmの円盤形(円板形)をしている。
血小板には、核は存在しないが、微小管により、形態が保たれる。
血小板には、濃染顆粒(密顆粒)が存在し、アデノシンニリン酸(ADP)、ATP、セロトニン、Ca2+、を含む。また、α顆粒が存在し、フィブリノゲン、vWF、凝固第V因子、血小板第4因子、血小板由来成長因子(PDGF)、fibronectin、α1-antitrypsin、β-トロンボグロブリン(β-thromboglobulin:β-TG)、P-セレクチン、トロンボスポンジン(TSP)、などを含む。
血小板には、開放小管系が存在し、細胞膜と通じていて、Ca2+が流入したり、顆粒細胞内容が、放出される。
血小板には、ミトコンドリアとグリコーゲン顆粒が存在し、ADP、ATPが、生成されている。
血小板は、不活性状態では、円盤形をしているが、活性化すると、球状に形を変え、偽足(突起)を出す。
血小板は、濃染顆粒(ADP、ATP、Ca2+などを含む)、α顆粒(フィブリノゲン、vWF、凝固因子などを含む)、ミトコンドリア、解放小管系(open canalicular system:放出反応の際に、顆粒の内容物が放出される経路となり、血小板膜表面に、開口部が存在する)、暗調小管系(滑面小胞体に相当し、Ca2+を貯蔵する)、細胞骨格(微小管、細線維)を有するが、核は有しない。。
- ○ 血小板凝集
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血小板の表面は、糖蛋白質で覆われ、血管内皮細胞は、陰性荷電を帯びている。その為、正常な血管内では、血小板と、血管内皮細胞は、結合しない。
血管内皮細胞が賛成するPGI2は、血小板の活性化を、阻害する。
血管壁が損傷すると、血管内皮細胞下組織のコラーゲンが露出し、コラーゲンに、血漿中のvon Willebrand因子(vWF:フォン・ウィルブランド因子、フォン・ヴィレブランド因子)が結合する。なお、血液中の凝固因子が、血管内皮細胞下組織のコラーゲンに接触すると、内因系血液凝固が、開始される。
このvWFに、血小板が、血小板膜糖蛋白のGPIb受容体(GPIb-V-IX)を介してつながれ(注1)、血管内皮細胞下組織に粘着して停滞する(一次凝集)。
粘着した血小板は、刺激伝達機構が働いて、活性化される。
円盤状だった血小板は、長い偽足を出して、中央部が隆起した目玉焼き状に胞体を進展させる。
活性化された血小板では、開放小管系を介するCa2+流入や、貯蔵Ca2+の放出が起こり、細胞内Ca2+が、上昇する。
その結果、脱顆粒が起こり、濃染顆粒(密顆粒)のADPやセロトニンが、細胞外に放出される。
また、細胞内のホスホリパーゼA2(PLA2)が活性化され、TXA2が、放出される。
その結果、最初に活性化された血小板周囲の血小板も、二次的に活性化される。
二次的に活性化された血小板表面に、血小板膜糖蛋白のGPIIb/IIIa受容体が発現する。
血小板のGPIIb/IIIa受容体どうしを、血漿中のvon Willebrand因子(vWF)やフィブリノゲンがつなぎ、血小板が凝集する
血流のずり応力により、vWF(やフィブリノゲン)によりつながれた血小板は、引っ張られて刺激される。
ずり応力とは、血小板を歪ませて引きちぎろうとする血流の力のこと。
高いずり応力が働くと、GPIIb/IIIa受容体を介するvWFとの結合が盛んに行われ、血小板の凝集が進む。
ずり応力で刺激された血小板は、活性化され、濃染顆粒から放出されるアデノシンニリン酸(ADP)やセロトニン、アラキドン酸から生成されるTXA2は、新たに他の血小板のGPIIb/IIIa受容体を活性化させ、凝集を促進させる。
また、α顆粒から放出されるフィブリノゲンが、GPIIb/IIIa受容体(γ鎖)どうしをつなぎ、血小板の結合が強固にされる。なお、フィブリノゲンを介したGPIIb/IIIa受容体(γ鎖)による血小板の結合より、vWFを介するGPIIb/IIIa受容体(α鎖)による血小板の結合の方が、血小板どうしの結合力が、強い。
また、血小板から、マイクロパーティクルと呼ばれる、微小な膜小胞体が、放出される。
円盤状だった血小板は、棘状の偽足を出して、球状に変形し、相互に接触し、凝集する(二次凝集)。
血小板が凝集して形成される一次血栓(血小板血栓)は、不安定で、剥がれ易い。
血小板凝集で形成される血小板血栓は、不安定なので、血液凝固反応により、フィブリン網が形成され、血小板血栓は、補強される。
一次血栓上で、血液凝固因子が活性化され、フィブリン線維が形成され、フィブリン線維の網が、一次血栓を覆って、血栓を強化し、二次血栓(フィブリン血栓)が、形成される。
二次血栓(フィブリン血栓)は、強固で、剥がれ難く、血管壁の損傷が、修復されるまで、再出血を防ぐ。
血流が速い動脈内では、一次血栓(血小板血栓)が形成されやすく、血流が遅い静脈内では、二次血栓(フィブリン血栓)が形成されやすい。
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