Subject : 血小板と血液凝固
カテゴリー : 学術情報 > 生化学
血小板と血液凝固
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血小板血栓は、速い血流下で、高ずり応力が作用して、主に、
血小板が活性化され、血小板凝集が起こり、
生じます(動脈中に形成される動脈血栓など)。
凝固血栓は、緩い血流下(低いずり応力下)で、血液凝固が起こり、フィブリン塊が形成され、生じる。心房細動や深部静脈血栓症では、血流が停滞し、主に、凝固血栓が形成される。
血小板血栓には、抗血小板凝集薬(アスピリンなど)が有効で、凝固血栓には、抗凝固薬(ワルファリン)が有効。
血流が停滞すると、内因系血液凝固が活性化され、凝固血栓が形成される。
リポ蛋白説:リポ蛋白レムナントの表面に存在する陰性荷電リン脂質により、内因系血液凝固が活性化され、XI因子をXIIa因子が活性化させたり、IX因子をXIIa因子やカリクレインが活性化させる。
赤血球膜プロテアーゼ説:赤血球膜上に存在するプロテアーゼ(好中球やマクロファージから放出されるエラスターゼと同様の因子)が、血流が停滞した際に、IX因子を活性化させる。また、陰性荷電リン脂質(赤血球膜由来のマイクロパーティクルでリゾホスファチジン酸から誘導される)が、内因系血液凝固を活性化させる。
活性化され血小板凝集を起こした血小板は、血液凝固(外因系血液凝固も内因系血液凝固も)を、促進させる場となる。
血流が停滞した際、血小板が活性化され血小板凝集が起こる(血小板血栓が形成される)と、内因系血液凝固も活性化され、凝固血栓が形成される。
- ○ 外因系血液凝固
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外因系血液凝固では、組織の陰性荷電リン脂質膜上で、組織因子(III因子)・VIIa因子複合体が、Ca2+(IV因子)とMg2+の存在下で、IX因子を活性化させる。活性化されたIXa因子は、活性化された血小板(凝集した血小板)の膜上で、VIII因子と複合体(X因子活性化複合体)を形成し、Ca2+(IV因子)とMg2+の存在下で、X因子を活性化させる(組織因子が多量に存在する際には、組織因子・VIIa因子複合体は、直接X因子を活性化させる)。活性化された。Xa因子は、活性化された血小板の膜上で、Va因子と複合体(プロトロンビン活性化複合体)を形成し、プロトロンビン(II因子)をトロンビン(IIa)にする。
- ○ 内因系血液凝固
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内因系血液凝固では、(XIIa因子により、)XI因子が、陰性荷電脂質などの生体異物面や、リポ蛋白レムナント膜上で活性化される。活性化されたXIa因子は、(外因系血液凝固と同様に、活性化された血小板の膜上で、)IX因子を活性化させる。活性化されたIXa因子は、外因系血液凝固と同様に、血小板の膜上で、X因子を活性化させ、凝固反応が進展する。また、血小板の膜上では、トロンビン(IIa)によって、XI因子が効率良く活性化される。
脂質(陰性荷電リン脂質やリポ蛋白レムナント)は、血小板と一緒に、特に、内因系血液凝固を進展させる。
従って、血液中にこれらの脂質が多いと、血栓を形成し易くなると、考えられる。
⇒
血液凝固反応因子
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