Subject   : ナトリウム利尿ペプチド

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 ナトリウム利尿ペプチド
 ナトリウム利尿ペプチドにはANP,BNP,CNP(C型ナトリウム利尿ペプチド)がある.ANPは主として心房で,BNPは主として心室で合成され,心臓から全身へ分泌される心臓ホルモンであり,血中を循環しているANP,BNPはほぼ100%心臓由来である47).ANPは心房の伸展刺激により,BNPは主として心室の負荷により分泌が亢進し,血中濃度が上昇する.つまり,ANPやBNP,特にBNPは心室への負荷の程度に鋭敏に反映する生化学マーカーである.CNPは神経ペプチドとして中枢神経系にも存在するほか,血管内皮細胞や単球・マクロファージでもその発現が確認され,血管壁ナトリウム利尿ペプチド系の主たるリガンドである。
血中のANP・BNP濃度が上昇している一つの原因として,ANP,BNPの代謝(クリアランス)が遅延していることがある.ANP,BNPは受容体に結合した後に内部化によって分解される場合と,中性エンドペプチダーゼによって分解される場合が知られているが,代謝と病態との関係はまだエビデンスに乏しい.他の重要な原因としては,心臓でのBNP産生が亢進していることである.BNPの遺伝子発現は,心室へのあらゆる負荷で増加する.従って,左室負荷,右室負荷,前負荷,後負荷,収縮障害,拡張障害の如何に問わず,負荷のかかっている心室でBNP産生が亢進し,その結果,血中BNP濃度が上昇する。

ANP,BNPは,利尿,ナトリウム利尿,血管拡張,アルドステロン分泌抑制作用,さらに心臓局所では心筋肥大抑制,心筋線維化抑制作用を有しており,これらの働きは特にアンジオテンシンIIのタイプ1受容体を介するいわゆる古典的なアンジオテンシンの作用とあらゆる部位で機能的に拮抗しており,ANP/BNPの心保護作用が期待されている.実際に,我が国では急性心不全治療薬としてANP(hANP),米国では,BNPが臨床応用されている.ANP,BNP治療による心筋保護作用は,ニトログリセンとの比較で急性心筋梗塞の左室リモデリング抑制効果,カテコラミンとの比較で短期予後改善効果5が認められている。

■ 心房性ナトリウム利尿ペプチド(Atrial natriuretic peptide:略称ANP )
心房性ナトリウム利尿ペプチド(Atrial natriuretic peptide:略称ANP )は生理活性を持つペプチドの一種(ホルモン)である。 血液中のhANP濃度測定が行われる。hANP濃度は心不全の程度を反映する。 カルペリチド(α型hANP)製剤、商品名ハンプが、急性心不全の治療薬として上市されている

■ 脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide; BNP)
脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide; BNP)は心臓から分泌されるホルモンである。主として心室で合成される。
血中のBNPは心不全の状況をすみやかに反映すると考えられている。心エコーで評価の難しい拡張障害を伴う心不全でも、しばしば異常値を呈する。 健常者のBNPの基準値は20pg/mL以下とされている。心疾患の有無や早期心不全のスクリーニングには50pg/mL[1]や100pg/mLが妥当とする意見もある。 また22pg/mLをcut off とすれば、心不全の診断において感度 97%、特異度 84%であるというデータもある。
NT-proBNP(BNP前駆物質のN末端)が現在商業ベースで測定できるようになり、臨床検査としてはNT-proBNPも用いられるようになった。ただNT-proBNPは腎機能に影響を受けるため心機能評価に注意を要する。
 ⇒ ペプチド

[メニューへ戻る]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]