Subject   : エクソソーム(Exosome)

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 エクソソーム(Exosome)
 エクソソーム(Exosome)は細胞から分泌される直径50-150 nm(ナノメートル:10億分の1メートル)の顆粒状の物質です。その表面は細胞膜由来の脂質、タンパク質を含み、内部には核酸(マイクロRNA、メッセンジャーRNA、DNAなど)やタンパク質など細胞内の物質を含んでいます。エクソソームは細胞外小胞(Extracellular vesicle)の一種とされており、細胞外小胞にはエクソソームのほかにマイクロベシクル、アポトーシス小体があり、それぞれ産生機構や大きさが異なります。エキソソームとも呼ばれる。

細胞から分泌されるエクソソームは分泌元の細胞の特徴を反映しているのに加えて、体液中に存在していることから、病気の診断に使えるのではないかと注目を集めています。体液中のがん細胞やその由来成分による診断は リキッドバイオプシー(Liquid Biopsy)と呼ばれ、エクソソームも診断マーカーとして期待されています。

エクソソームは、エンドサイトーシス(細胞が細胞外の物質を取り込む機構の一種)により細胞内にできたエンドソームがさらに陥入することで作られた膜小胞が、細胞外に放出されたものです。エクソソームの表面には細胞膜成分が、内部には細胞内の物質が含まれるため、分泌された元の細胞の特徴を反映していると考えられています。

エクソソームには共通に含まれるタンパク質があります。表面にはテトラスパニン類(CD9、CD63、CD81など)やインテグリン類などの膜タンパク質、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子が、また内部には多胞体形成に関連するタンパク質(Tsg101、Alix)、熱ショックタンパク質(HSP)が多く存在することが知られています。このことからCD9など表面に存在するタンパク質を利用してエクソソームを回収する試みも行われています。

 ■ エクソソームのなかに含まれている主な物質
「酵素」
 ・ペルオキシダーゼ、 キナーゼ、エノラーゼ、GAPDH
「シグナルトランザクション」
・プロテインキナーゼ、β-カテニン、14-3-3タンパク質、Gタンパク質
「生合成因子」
 ・ALIX、TSG101、シンテニン、ユビキチン、VPS32、VPS4
「シャペロン」
 ・HSP70、HSP90
「核酸」
 ・miRNAおよび非コードRNA、mRNA、DNA(およびヒストン)

 ⇒ DNA(デオキシリボ核酸)

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