Subject : ゲノム編集
カテゴリー : 学術情報 > 生化学
ゲノム編集
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ゲノム編集とは、生物が持つゲノムDNA上の特定の塩基配列を狙って変化させる技術です。外来の遺伝子を細胞に導入して新しい形質を付け加える遺伝子組み換えに対し、細胞が元々持っている性質を細胞内部で変化させることが特徴です。ゲノム編集に使用される、現在主流となっているツールCRISPR-Cas9(clustered regularly interspaced short palindromic repeats-CRISPR associated protein 9:クリスパー・キャスナイン)は、日本人研究者による発見がきっかけとなって開発されました。
ゲノム編集と似た意味の言葉として「遺伝子組み換え」があります。
遺伝子組み換えとは、別の生物から取り出した遺伝子を導入することにより、細胞に新たな性質を付け加える技術です。遺伝子とはゲノムの一部分を意味し、たとえば顔や皮膚、目の色など生物の形質を決定づける情報です。遺伝子を構成するDNAの配列情報は、タンパク質を構成するアミノ酸の配列情報に変換され、タンパク質の設計図としての役割を果たします。
導入する遺伝子は、たがいに交配できない、異なる種のものも利用できます。たとえば植物に対し、微生物や動物の遺伝子の導入も可能です。
それに対してゲノム編集は、前述のとおりゲノムを切断し、突然変異を起こさせることにより、その生物に元からある性質を変化させるものです。したがって、結果として得られる新しい性質が、細胞の外部から導入されたものなのか、それとも細胞内部で変化したものなのかが、遺伝子組み換えとゲノム編集の違いといえます。
ただし、植物のゲノム編集においては、ハサミの役目をするツールを発現するための遺伝子を、遺伝子組み換え技術によって導入することもあるため、ゲノム編集と遺伝子組み換えの違いがわかりにくくなってしまうところがあります。しかし、この「ハサミ遺伝子」は、ゲノム編集終了後は交配により取り除いてしまうため、導入した遺伝子が機能し続ける一般の遺伝子組み換えとは異なります。
(交配によってハサミ遺伝子を取り除けるのは、交配後の次の世代にはメンデルの法則に従って、ハサミ遺伝子が受け継がれない個体が4分の1の確率で出てくるからです)
動物のゲノム編集では、ハサミの役割をする酵素そのものなどを細胞内に直接注入します。注入された酵素は次世代には残らないため、植物のゲノム編集と比べると遺伝子組み換えとの違いがはっきりとしています。
放射線などによるゲノムの切断は、ゲノム上のランダムな場所に起こります。それに対して、ゲノム上の狙った場所の切断を可能としたのがゲノム編集技術です。ゲノム編集技術は、DNA切断酵素「人工ヌクレアーゼ」が、以下で見ていくとおり
ZFN(zinc-finger nuclease:ジンクフィンガーヌクレアーゼ)、
TALEN(transcription activator-like effector nuclease:ターレン)、CRISPR-Cas9と新たに開発されるごとに、切断の正確性がより向上してきています。
<出典:Wikipedia>
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