Subject   : いんげんまめ

カテゴリー  : 食品・料理 


 いんげんまめ
いんげんまめは、べにばないんげん(花豆)とともにインゲン属に属し、双方を合わせて単に「いんげん」と総称する場合があります。また、いんげんまめは「菜豆(さいとう)」と呼ばれることもあります。英語では、"kidney bean"、"french bean"、"haricot bean"等と表記されます。

いんげんまめは、諸外国では最も日常的に食べられている豆の一つで、その種類は多様です。原産地は中南米ですが、我が国への渡来は17世紀の中頃、中国から隠元禅師によってもたらされ、禅師の名に因んで「隠元豆」とよばれるようになったと伝えられています。しかし、実はそれは「ふじ豆」という別の種類の豆であったとの説もあります。
日本での本格的な栽培は北海道の開拓が始まる明治になってからで、アメリカ産の種子が輸入され、栽培が始まりました。現在、北海道がいんげんまめの主産地で、国内生産の大部分を占めています。輸入は、カナダ、アメリカ、中国などから行われています。
いんげんまめは、種皮の色の多様性に大きな特徴があります。まず、豆全体が真っ白な白色系と、豆に色の付いている着色系とに大別されます。白色系は「白いんげん」と呼ばれ、代表的なものとして「大福豆(おおふくまめ)」、「手亡(てぼう)」、「白金時豆」などがあります。着色系には単色と斑紋入りがあり、単色の代表は「金時豆」で、へその部分を除いて全体が鮮やかな赤紫色をしています。斑紋入りは、さらに斑紋が種皮全体に及ぶ普斑種(ふはんしゅ)と、一部分にとどまる偏斑種(へんはんしゅ)とに分かれ、普斑種には「うずらまめ」、偏斑種には「虎豆」があります。
なお、いんげんまめの未熟の莢を野菜として利用する 「さやいんげん」は、完熟種子を乾燥豆として利用する上記のいんげんまめとは品種が異なります。

○ 金時豆
金時豆は、いんげんまめの代表的な種類です。北海道で栽培されているいんげんまめのうち、金時豆が約7割を占めています。中でもよく知られているのが「大正金時」という品種です。昭和初期に北海道の十勝地方の幕別村で見つけられ、大正村(現在は帯広市内)で量産されたことからその名が付きました。赤紫色が鮮やかなことから赤いんげんとも呼ばれます。 いんげんまめには蔓性と蔓なしがありますが、大正金時は蔓なしで、種子は大きく2p近くもあります。後に品種改良が進み、さらに大粒の「北海金時」、「福勝(ふくまさり)」などがつくられています。この他、白色をした「福白金時」があります。煮豆用に最も適した豆とされ、洋風の煮込み料理にもよく用いられます。甘納豆の原料としても重要です。

○ 手亡(てぼう)
手亡は種皮の色の白さから大福豆などとともに白いんげんとも呼ばれます。明治時代に北海道の十勝地方で栽培されたのが始まりで、大正時代には網走、上川地方へ普及し、かつては輸出作物として急速に生産量を伸ばしました。当初、「新白(しんじろ)」とも呼ばれ、半蔓性であり、支柱にする手竹(てだけ)がいらないことから、「手亡」の名が付いたとされています。
粒の大きさによって大、中、小の3種類がありますが、中手亡、小手亡は、戦後、自然に淘汰されて影をひそめています。普通に手亡と呼ぶ場合は大粒種の「大手亡」のことを指します(大粒といっても手亡の中での相対的な話で、金時豆等と比べるとかなり小粒です。)。ただし、現在は品種としての大手亡は減り、代わって「雪手亡」などの新しい大粒の品種が大手亡として出回っています。 手亡は白色の美しい豆で、大部分が白餡に使われます。他の豆類と違い、直接料理に使用されることはほとんどありません。また、国産の白餡原料の不足分については、グレートノーザンなど白色系のいんげんまめや、バタービーン、ベビーライマなど白色系のライマメが輸入されています。

○ 花豆(はなまめ)
花豆は、インゲン属の中の「べにばないんげん」のことを言います。鮮赤色又は白色の大きな花をたくさん咲かせるのが特徴で、それが名の由来ともなっています。赤花の子実は紫の地に黒色の斑が入っていて紫花豆と呼ばれ、白花のものは子実も白色をしているところから白花豆と呼ばれます。煮豆、甘納豆の原料になります。 花豆の種子が日本に伝わったのは、江戸時代の末期ですが、花が大きくきれいなため、当時はもっぱら観賞用に栽培されていました。食用としての栽培は明治時代になってから札幌農学校で始められ、本格的な栽培は大正時代に入ってからです。現在は、主として北海道でつくられ、一部、東北地方や長野県、群馬県などの冷涼な地域でも栽培されています。 なお、中国からの輸入物は「花芸豆(はなげいまめ)」と呼ばれています。
 ⇒ 豆類

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