Subject   : グルカゴン(glucagon )

カテゴリー  : 話題のことば > ホルモン


 グルカゴン(glucagon )
グルカゴン (glucagon) は29アミノ酸残基からなるペプチドホルモンで、炭化水素の代謝に重要な機能を持つ。分子量3,485ダルトン。インシュリンとともに血糖値を一定に保つ作用をするホルモン。(血糖値を上昇させる作用を持つ)

膵臓ランゲルハンス島のA細胞(α細胞)で生合成、主として分泌される 血糖上昇ホルモンで、 膵臓以外の消化管、脳にもその存在が報告されています。
グルカゴンはその標的器官の肝細胞の受容体と結合し、 adenyl cyclase を活性化してアデノシン三リン酸(ATP)より cyclic 3'5'AMP(サイクリックAMP)への転換を増大させ、 細胞内cyclic 3'5'AMPレベルを高めます。 また、不活性phosphorylase を活性型にかえ、 その結果肝グリコーゲン分解を促進し、肝からのブドウ糖の放出が増大させます。
また、脂肪組織から脂肪酸とグリセロールへの分解を促進し、肝臓におけるグルコース新生にグルコース前駆体を供給する。

グルカゴンの分泌は低血糖により促進され、高血糖により抑制される。遊離脂肪酸によっても抑制され、 アルギニンなどのアミノ酸によって刺激される。 体液性因子としては、血中グルコース上昇により分泌されるインシュリンがグルカゴン分泌を抑制する。ソマトスタチン、セクレチンもグルカゴン分泌を抑制し、反対に成長ホルモン、サイロキシン、糖質コルチコイド、コレシストキニン、ガストリンは刺激する。神経性因子として、迷走神経はムスカリン様作用により分泌を促進する。交感神経はβ作用により分泌促進とα作用による分泌抑制の両作用を持つが、通常分泌促進使用が優勢である。

グルカゴンは貯蔵燃料を動員する異化ホルモンである。肝のグリコーゲン分解、アミノ酸からの糖新生を促進する事により血糖値を上昇させる。また、脂肪細胞のホルモン感受性リパーゼを活性化して、脂肪分解を促進して遊離脂肪酸放出を増加させる。遊離脂肪酸は肝でのケトン体産生の基質になるので、結果としてケトン生成を促進する。なお筋肉ではグリコーゲン分解を促進しない。また膵B細胞のインシュリン分泌、D細胞のソマトスタチン分泌、下垂体前葉の成長ホルモン分泌を刺激する。

疾患には、 グルカゴン産生腫瘍グルカゴノーマがあります。

■ グルカゴン産生腫瘍 (glucagonoma)
グルカゴノーマは膵ラ氏細胞A細胞から発生し、 天疱瘡様皮膚症状(necrotic migratory erythema)、口内炎、体重減少、貧血、 低アミノ酸血症、耐糖能異常を伴います。 時に皮膚症状を欠くグルカゴノーマもあります。 この腫瘍は多発性内分泌腺腫症T型の一部としても発生します。 診断は、 高グルカゴン血症とグルカゴン産生する腫瘍を証明することです。

 ⇒ ホルモンがつくられる部位と機能

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