Subject   : アントシアニジン(anthocyanidin)

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 アントシアニジン(anthocyanidin)
アントシアニジンは、フラボノイドの中で、2-phenylbenzopyrylium (flacvylium)を基本骨格とする化合物群の総称である。 その配糖体をアントシアニンと称し、水溶性植物色素の最も重要なものである。アントシアニンの色はアグリコン(非糖部)のアントシアニジンの種類によって決まる。天然に存在するアントシアニジン類はペラルゴニジン、シアニジン、デルフィニジン及びそのO-メチル誘導体に限られているが、結合する糖の種類、数、結合位置によって多くのアントシアニンが存在する。アントシアニンは抗酸化活性を有するものが多く、様々な生活習慣病の予防にと注目を集めている。

アントシアニジンは、植物体内においてチロシンおよびフェニルアラニンから、4-クマロイルCoA、テトラヒドロキシカルコン、ナリンゲニン,ロイコアントシアニジンを経由して生合成される。

基本的なアグリコンは、3,5,7,4’‐位(R3,R5,R7,R4’ のこと)に水酸基をもち、B-環の水酸基(−OH)やメトキシル基( −OCH3)の数により差異が生じています。その差異によって天然か ら18種類のアントシアニジンが見出されています。 通常みられるのはペラルゴニジン,シアニジン,デルフィニジン,そし てメチル化されたペオニジン,ペチュニジン,マルビジンの6種類です。 これらアグリコンの色調はB‐環の水酸基の数によって変化します。 水酸基が多いほど青色(深色)にシフトして紫色 になります。また、3‐デオキシ体は赤色(浅色)にシフトして橙色に なります。 通常アントシアニジンは不安定なため、糖が結合した形(配糖体)で植 物中に存在します。(この配糖体をアントシアニンといいます。) 糖は酸素原子を介してアグリコンとグリコシド結合で結合しています。 通常はβ‐結合の形をとります。 結合糖は1,2,3糖類で、結合位置はアグリコンの3‐位水酸基が最 も多く、他に3,5‐;3,7‐;3,3’‐などがあります。 さらにこの配糖体の糖部に有機酸がエステル結合したもの(アシル化ア ントシアニンといいます)もあります。結合する有機酸には大きく分け て2種類あり、芳香族有機酸と脂肪族有機酸があります。芳香族有機酸 にはさらにヒドロキシケイ皮酸類(コーヒー酸,フェルラ酸など)とヒ ドロキシ安息香酸類(p−ヒドロキシ安息香酸,没食子酸など)があり ます。脂肪族有機酸にはマロン酸や酢酸,シュウ酸,コハク酸,リンゴ 酸などがあります。アシル化したアントシアニンは(有機酸の種類,結 合数によってその程度に差異はありますが)安定性が高くなります。  アントシアニンの特徴としてあげられるのは、pHの変動による色調 の変化です。左に示すように酸性が強くなるほど明るくなり、中性〜ア ルカリ性へと移行するほど暗くなっていきます。同時に、安定性もpH によって変化します。酸性が強いほど安定で、中性,アルカリ性になる 程不安定になります。

アントシアニンの種類によって色調,安定性は一様ではなくそれぞれ異 なります。これはアントシアニンの構造において"R"に 結合する物質の数や種類の違いによって左右されるからです。例えば、 赤キャベツでは酸性が強いほど赤、中性へかけて赤紫〜紫となり、赤ダ イコンでは酸性が強いほど橙色、中性へかけては橙〜赤となります。安 定性は赤キャベツの方が優れています。
 ⇒ ファイトケミカル

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