Subject   : 天然ガス

カテゴリー  : 産業・技術 > 資源・エネルギー


 天然ガス
天然ガスとは、自然界において地下に存在し、地表条件下で気体状を呈する物質の総称であり、通常は炭化水素を主成分とする可燃性ガスを指す。

可燃性天然ガスの主成分はメタンで、その他にエタン、プロパン、炭酸ガス、窒素、ヘリウム等が含まれる。在来型の天然ガスは比較的浅い堆積層の油・ガス田から採取され、産出の状態から水溶型、油溶型(随伴ガス)、遊離型(構造性ガス)に分類されている。これらが現在天然ガスとして利用されているものであるが、最近では、従来開発の対象とならなかった非在来型の天然ガスが注目されるようになった。  石油(Oil)利用の過程でガス状に変化したもの(NGL、Natural Gas Liquid)も含まれるが、 液化石油ガス(LPG、Liquefied Petroleum Gas)は、日本ではプロパンガス(Propangas)と呼ばれるものであるが、プロパン(Propane、C3H8)やブタン(Butane、C4H10)からなり、いわゆる天然ガスとは区別される。これは、基本的には石油や天然ガスから生産されるものである。

 在来型天然ガスと非在来型天然ガスは、しばしば成因によって区分されるが、経済性や技術的可能性に基づいて区分される場合もあり必ずしも統一されていない。非在来型天然ガスの大きな特徴は、蓄積と濃縮のされかたにあり、一般的に坑井から回収するに際して最初から特殊な回収技術を利用しないと回収できないか、あるいは坑井掘削以外の方法で回収を図る必要のある天然ガスといえる。現在、非在来型天然ガスとみなされているものには、 メタンハイドレートコールベッドメタン、タイトフォーメーションガス、深層天然ガス等がある。

 近年これらが注目されるようになったのは、米国の影響が大きい。米国における天然ガス埋蔵量は1968〜1979年にピークを迎えた後、このまま在来型の資源だけに頼っていてはR/P比が6〜7年となってしまうことが予想された。このような背景と1973年の石油価格の高騰に刺激されて米国は、これまで手をちけて来なかった非在来型天然ガスの開発に取り組み始めた。政府は開発を促進させるため、非在来型の石油・天然ガスなどに対する税制上の優遇措置をとった(1992年で切れたが)。これが功を奏し、現在では非在来型天然ガスが全天然ガス生産量の20%を占めるに至っており、開発技術、生産量いずれの面でも世界的にみて抜きんでた存在となっている。

 カナダは米国と同様に非在来型天然ガスが豊富に埋蔵されているとみられるが、在来型天然ガスが豊かにあるので、非在来型を早期に開発しようという姿勢はない。一方、スウェーデンやスイスなど貧資源国は環境保全、国防等各々の抱えている事情から新しいエネルギー源を深層ガスに求めて超深度掘削プロジェクトを推進している。

● 天然ガスの輸送
ガス体であるため、パイプライン(Pipeline)により搬送する(Transport)か、液化〔液化天然ガス(LNG、Liquefied Natural Gas):−162℃に冷却して液体にして、気体の体積の約600分の1にしたもの〕してタンカー(Tank Ship、Tanker、LNG Carrier)で搬送するかのどちらかである。
 ⇒ 新エネルギー

[メニューへ戻る]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]